You Are Here: Home » コラム » Tポイントは崩壊寸前? 大手加盟店がTポイントを辞めた理由を考える

Tポイントは崩壊寸前? 大手加盟店がTポイントを辞めた理由を考える

Tポイントは崩壊寸前? 大手加盟店がTポイントを辞めた理由を考える

大手加盟店が続々とTポイント離脱

アルペンがTポイントから楽天スーパーポイントにポイントを切り替えると発表、ドトールがTポイントをやめてドトール バリューカードに集中すると発表、ファミリーマートがTポイントだけでなく、複数のポイントを採用すると発表、と言うように、脱Tポイントの話題が多くなっている。

最近、脱Tポイントについての特集が組まれ、筆者にも取材が多く来ているが、なぜ、脱Tポイントが進んでいるのかを筆者なりに考えて見た。

ドトールがTポイントを終了した理由

先日、ホームセンターのコーナンと楽天ポイントカードの記者会見に行ったが、コーナン側が楽天ポイントカードに期待していることとしては、新規顧客の開拓とのことだった。コーナンは客層を広げたいと言う想いがあり、1億IDある楽天の利用者を送ってもらうことに期待していた。

ドトールがTポイントサービスを開始したのが2009年11月25日(水)となり、約10年程度加盟店となっている。2015年5月29日(金)には独自の電子マネーであるドトール バリューカードの発行を開始し、この間はTカードとドトール バリューカードを併用していた。

併用といっても、Tカードとドトール バリューカードの2重取りはできるわけではない。Tカードを提示してTポイントを貯めて、ドトール バリューカードで決済するのはNGだ。そのため、ドトールを良く利用するユーザーは、還元率の高いドトール バリューカードの方を利用するだろう。

つまり、Tカードで新規顧客を獲得し、ドトール バリューカードで固定客を作ると言う方針がうまくいき、多くの固定客を獲得したためにTポイントサービスを終了したのではないだろうか。

アルペンがTポイントを終了した理由

アルペンは2006年8月からTポイントサービスを開始している。一方、アルペン楽天市場店として出店を開始したのは2004年8月となる。楽天ポイントカードが開始したのは2014年10月だ。

ここでもコーナンの話になるが、コーナンは楽天市場に出店している。例えば、ネットで商品を見たが、実物を見て商品を購入したいと言う場合、コーナンの店舗に行っても同じ楽天スーパーポイントを貯められる。逆も同じで、楽天からの送客に加え、O2Oにも期待しての楽天ポイントカードを採用したという話があった。

楽天側の説明でも、他社の事例でO2Oモデルで成果が出ていると言う事も発表されており、リアルはTポイント、ネットは楽天スーパーポイントでは効果が薄れてしまう事になる。

従って、アルペンがTポイントを離脱した理由は、ネットとリアルのポイントカードを統合し、O2O効果に期待してのポイントカード切替という事が大きいのではないだろうか。

ファミリーマートがTポイントだけでなく他社ポイントを導入する理由

Tポイント=ファミリーマートの印象が強いが、Tポイント開始当初の2003年に加盟したのはローソンだ。ローソンは2003年10月からTポイントサービスを開始し、2007年3月31日(土)でTポイントサービスを終了した。

その後、2007年11月20日(火)からファミリーマートがTポイントサービスを開始。2010年3月にローソンがPontaサービスを開始したと言う流れとなっている。

ファミリーマート=Tポイントの歴史は長いが、ファミリーマートが2019年7月からスマホ決済アプリ「ファミペイ」の開始を発表したニュースリリースに「Tポイントをはじめ、様々なポイントプログラムと連携し、お客さまのライフスタイルにあったポイントを貯めることができるマルチポイント機能(2019年秋予定)」と強烈な一文が書かれている。つまり、他社ポイントも併用すると初めて発表したわけだ。

2018年6月時点で、日経新聞に「ファミマ、Tポイントから離脱か」と言うニュースが出ていたが、ファミリーマート側は否定し続けてきた経緯がある。しかし、ついにファミリーマート側からの発表となった。

ここでTポイントプログラムを運営しているTポイント・ジャパンの株主構成を確認しよう。主要株主は、CCCマーケティング、ヤフー、ソフトバンク、ファミリーマートとなっている。

従って、ファミリーマートが完全にTポイントから離脱という事は考えにくい。

では、なぜマルチポイント化を開始するのだろうか。

これも共通ポイント=新規顧客の開拓という事で考えた場合は、長年使ってきたTポイントだけでは新規顧客は頭打ちとなる。新たに開始するファミペイだけでは、新規顧客を開拓することはできない。しかし、他の共通ポイントを入れれば、客層は被っている可能性もあるが、それだけ新規顧客を開拓できる可能性は増えるはずだ。

また、昨年発行された楽天スーパーポイントは約2,500億円相当。このポイントをリアル店舗に送客します、と言う話はファミリーマートにとっても魅力的だろう。同じく、昨年発行されたdポイントも1,500億円を超えるポイントが発行されている。

Tポイント・ジャパンの主要株主(株の売却の噂もあるが)であるため、Tポイント離脱はせずに、他の共通ポイントを導入して、新規顧客開拓に動いたのではないだろうか。

10年を超えるような長期契約加盟店が契約を見直している

なお、上記の3社はドトールが約10年、アルペンは約13年、ファミリーマートが約12年という事を考えると、長期契約の加盟店が契約の見直しをしていると言う事になる。

もちろん、三越伊勢丹がTポイントを短期間で終了した事例もあるが、こちらは三越伊勢丹ホールディングスの社長交代の影響が強かったのではないだろうか。

Tポイントは2003年から開始しているため、これだけ長期間の契約加盟店が存在するが、Pontaは2010年3月、楽天ポイントカードは2014年10月、dポイントは2015年12月開始となるため、そもそも長期契約がまだないと言う事になる。

従って、Tポイント離脱ばかり取り上げられているが、Tポイントを導入したときの目的が達成されたための離脱と考えると、他社が10年以上運営したときに同じような状況になる可能性もある。

Tポイント離れが激しいというのは、それだけ長く運営してきたからと言う事も考えられ、「Tポイントだけが効果がない」と言う結論は早すぎるだろう。

ただし、Tポイント離れがさらに加速する可能性は3つある。

ファミリーマートがマルチポイント化で離脱が増える可能性も

Tポイントは基本的に加盟店と排他契約(独占契約となり、他社の共通ポイントを入れられない)のはずだ。株主であるファミリーマートがTポイントの契約を見直して、マルチポイント化するという事は、他の加盟店にも影響するだろう。

「ファミリーマートが良くて、なんで弊社は独占契約を続けなければならないんですか」と言う事になりかねない。

元々、楽天やドコモは開始当初から排他契約は考えていないと言っていた。それだけポイントプログラムに自信があると言う事だ。

マルチポイントの契約に移行できない加盟店は離脱する可能性もある。マルチポイント化した加盟店では、お客さんがポイントカードを選べるようになるため、ポイントの価値が高い(=使い勝手が良い、ポイントが貯まりやすい)ポイントを選ぶようになるわけで、その場合にTポイントが選ばれるかどうかは未知数となる。

Tポイントが危険な状態であるもう一つの理由

Tポイントが危険な状態であるもう一つの理由を紹介したい。

共通ポイントの歴史を見ていくと、最も重要な年が2013年となる。

2013年7月1日(月)にYahoo!ポイントが廃止し、Tポイントに統合した。この統合が全ての始まりと言っても良いだろう。ネットショッピングでは楽天市場の後塵を拝してきたYahoo!ショッピングのポイントがリアルのTポイントに切り替わることで、ネットとリアルのポイントが融合した。

TポイントのライバルであるPontaもネットショッピング「ポンパレモール」を立ち上げたリクルートと2014年7月にポイントの相互交換を開始。前後するが2014年5月にはauがauポイントからWALLETポイントに切り替えて、ポイントのオープン化を開始。同年7月よりソフトバンクもソフトバンクポイントからTポイントに切り替えた。2014年10月にはネット最強ポイントの楽天がリアルに参入しRポイントカード(現、楽天ポイントカード)を発行。最終的にドコモも動き、2015年12月に共通ポイントのdポイントを開始。

約2年間でこのような激しい動きがあったのは、やはりYahoo!ポイントの廃止、Tポイントへの切替があり、使い勝手の良いポイントプログラムへのシフトがあったためだ。

上記の流れから、TポイントはCCC+ヤフー+ソフトバンク+ファミリーマート連合、Pontaはロイヤリティ マーケティング+リクルート連合と言う事がわかる。一方、楽天とドコモは単独だ。最近の勢いの違いはここにあるのではないだろうか。

例えば、スマホではトーンモバイル、ソフトバンクがあり、クレジットカードはファミマTカードやYahoo! JAPANカード、ソフトバンクカード(おまかせチャージ)、Tカード プラスなどがある。旅行関連ではYahoo!トラベルもあればTトラベルもあり、全てTポイントが貯まるサービスにもかかわらず、結局どれを選べばおトクなのかがわからない。そもそも、運営している企業が違うために、似たようなサービスも多く、利用者にとってはわかりにくい。

しかし、楽天やドコモの場合は、クレジットカードであれば楽天カード、dカード程度であり、後はグレードを選ぶだけとなる。

連合の場合はうまく回っているときには良いのだが、一度歯車が狂うと一気に崩壊する可能性もある。ファミリーマートだけがTポイントと距離を置く訳でなく、Yahoo!ショッピングやYahoo!カードの利用で貯まるボーナスポイント(期間固定Tポイント)がTポイントからPayPayに変更するなど、歯車が狂い始めている。

以前、dポイントが開始する前に、Tカード、楽天ポイントカード、Pontaカードの三国志の図で、楽天ポイントカードを魏、Tカードを呉、Pontaカードを蜀で描いたところ、「違和感がある(Tカードが魏では?)」というコメントがあったが、単独である楽天の勢いを考えて、魏を楽天として描いていた。

結局、現在の勢いとしては、この図のような感じではないだろうか。

利用者離れが起きる可能性も

これまでは加盟店サイドの話をしてきたが、利用者側の視点に立って考えて見たい。

楽天の場合は楽天市場でSPU(スーパーポイントアッププログラム)やスーパーセール、買い回りなどのキャンペーンを使うと10倍・20倍のポイントが貯まり、簡単に数千・数万ポイントを貯めることができる。ドコモの場合はdカード GOLDを保有していると、通信費の10%のポイントが戻ってくる。これは黙っていても獲得できるポイントだ。

一方、ソフトバンク利用者の場合はYahoo!ショッピングで購入するときには10%のTポイントを獲得できるが、ボーナスポイント分は期間固定Tポイントとなり、実店舗などで使えるポイントではない。今後はPayPay残高になり、PayPay加盟店で利用できるようになるが、もはやTポイントでなくなってしまう(1%分の通常ポイントはTポイントのまま)。

また、実店舗では、Tカード提示時の基本ポイントは200円につき1ポイント、楽天ポイントカード、Pontaカード、dポイントカードは基本的に100円につき1ポイントとなっており、このような点からもTポイントは貯まりにくいと感じている人も増えている。

これに加え、2019年1月に個人情報を警察に令状なしで無断提供していたと言う報道があり、利用者側もTポイントの見直しを始める可能性も高い。

加盟店離れだけでなく利用者離れも起きる可能性もあり、立て直すのは非常に大変な状態と言えるだろう。

About The Author

菊地崇仁

1998年に法政大学工学部を卒業後、同年日本電信電話株式会社(現NTT東日本)に入社。社内システムの開発、Lモードの料金システム開発、フレッツ網の機器検証等に携わり2002年に退社。同年、友人と共に起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイント探検倶楽部に掲載されているポイントは約230種類。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。 三児の父であり家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。 45枚のクレジットカードを保有し、約70万円の年会費を支払っている。一般カードからプラチナカード等のプレミアムカードを実際に保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。すべてのカードを利用し、おトクな使い方、おすすめの使い方を日々研究中だ。

Number of Entries : 959

© 2013 ポイ探

Scroll to top