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今さら聞けない共通ポイント Tカード(Tポイント)、Pontaカード(Pontaポイント)、Rポイントカード(楽天スーパーポイント)の歴史から徹底比較

2014年9月25日

財布の中がポイントカードや会員証だらけになっている方は多いだろう。基本的に、ポイントカードはそのお店だけで使えるものだ。良くても、同一グループで利用できる程度だろう。そのため、様々な店舗でポイントカードが発行され、財布の中にどんどんポイントカードが増えていくことになる。

最悪なのが、同じお店にもかかわらず利用する店舗によって異なるポイントカードの場合だ。○○新宿店、○○池袋店で別々のポイントカード(会員証)になっている場合、会社の近くと自宅の近くで別々のポイントカードを作らなければならない。

実は、従来のTSUTAYAの会員証がこのタイプだった。TSUTAYAは、店舗ごとに別々だった会員証を共通化することを決定、そのタイミングで、共通ポイントサービスの導入も検討された。2003年10月にTSUTAYA会員証の提示でENEOS、ローソンでTポイントが貯まるようになり「共通ポイントサービス」が開始される。2004年4月にはTSUTAYA会員証が全店で共通化され、今の「Tカード」となる。

なぜ、企業は共通ポイントに参加するの?

企業はなぜ共通ポイントに参加するのだろうか? ポイントは消費者を囲い込むためのものだ。消費者はポイントを消費するために、またポイント発行店舗に来店する。しかし、共通ポイントの場合は、自分の店舗で付与したポイントを、他店で利用される場合もある。これでは、再度来店してもらうというポイントの役割を果たさない。

共通ポイントへの参加メリットは、相互送客が目的だ。例えば、ファミリーマートでTカードを提示して商品を買うと、レシートにクーポンが付いてくる場合がある。このクーポンは、会員属性により出力結果が違うのだ。

例えば、20代女性にはエクセルシオールカフェのクーポンが、30代男性には牛角のクーポンが、と言う具合だ。ファミリーマートに来た人を牛角やエクセルシオールカフェに誘導することが可能となる。それぞれの加盟店で、相互に送客することで今まで獲得できていなかった利用者(図中のBさん)にも利用してもらえるようになる。

ポイントは単なる囲い込みのためのツールから、人の誘導ツールに変わってきたのだ。

共通ポイントカードと従来のポイントカードのイメージ

Tポイント(Tカード)が注目された理由

長引くデフレの影響で「少しでもおトクを」と言う事で、ポイントに注目が集まり始めた。そんな中、ポイント交換案内サイトのポイ探が2006年4月にオープンする。2007年はnanaco、WAON、PASMOが登場。電子マネー元年と言われ、どんどんポイントに注目が集まり始めた。

この時に注目され始めたのが共通ポイントのTポイントだ。提示でポイントを貯められ、クレジットカードや電子マネーで決済すれば、1回の買い物で2つのポイントを同時に手に入れることができる。さらに、貯まったポイントは1ポイント単位で加盟店で利用できる。例えば、103円の支払の場合、3円分をポイントで支払い、100円分を他の決済手段で支払うという使いやすさも評価された。

おトクだけでなく、様々な店舗で貯まり・使えるポイントは財布の中のポイントカードを減らすアイテムとなり、ポイントカードの断捨離ということでも注目が集まったのだ。

共通ポイントカードが注目された理由

Pontaカード(Pontaポイント)が開始した理由

これに目をつけたのがPontaだ。2010年3月にローソンのポイントカードとゲオの会員証がPontaカードに切り替わり、ローソン、ゲオだけでなく昭和シェル石油など、Tカード加盟店のライバル店に導入し、Tカードと同じようにPontaカードを提示するとポイントが貯まるサービスを開始。「PontaポイントとTポイントはどちらがおトクか?」などという記事を目にするようになる。

Rポイントカード(楽天スーパーポイント)が開始する理由はPontaとは異なる

Pontaの登場から約4年半、楽天が2014年10月からRポイントカードを発行し、楽天市場や楽天ブックス等で貯まる楽天スーパーポイントをリアル加盟店でも利用できる共通ポイントサービスを開始する。ただし、楽天のRポイントカードでの共通ポイントサービス参入は、Pontaの参入理由とは異なる。

2012年6月、Yahoo!ショッピングで貯まるYahoo!ポイントを廃止し、Tポイントに変更するという発表があった。Yahoo!ショッピングでもTポイントが貯まり・使えるようになるということは、オンラインショッピングモールとしては圧倒的だった楽天市場も危うくなる。この発表から約半年後の2013年3月、楽天もRポイントカードを発行し、リアル店舗で楽天スーパーポイントを利用できるようにすると発表した。

共通ポイントの三国志

Yahoo!ショッピングがTポイントへの切り替え、楽天がRポイントカードでの共通ポイントサービス参入と、リアル加盟店+オンラインショッピングモールが共通ポイントサービスの条件となり、Tカード+Yahoo!ショッピング、Rポイントカード+楽天市場と「Tカード vs Pontaカード」と言う従来の構図から、「Tカード vs Rポイントカード」という構図に変化した。雑誌などでも「CCC+ヤフー連合 vs 楽天」のような特集も組まれた。

取り残されたPontaはオンラインショッピングモールとの提携が必須となる。Pontaが目をつけたのがリクルートだ。リクルートは2013年3月にオンラインショッピングモールの「ポンパレモール」を開始。ポンパレモールでの購入では3%のリクルートポイントが貯まり、他社よりも2%も多くポイントが貯まることをアピールした。新しく還元率2.0%のリクルートカードプラス(年会費2,000円+税)、還元率が楽天カード、Yahoo! JAPAN JCBカードよりも0.2%高い1.2%のリクルートカード(年会費無料)も発行。しかし、ポンパレモールの加盟店は1年で1,000店舗程度と伸び悩んでいる。

伸び悩んでいる理由は、リクルートポイントの使い道だろう。いくらたくさんのポイントが貯まっても、使い道がなければ意味が無い。楽天市場やYahoo!ショッピングでは数万店舗でポイントを利用できる。ほぼ買えない商品は無いのだ。しかし、リクルートポイントは1,000店でしかポイントを利用できない。価格競争もあまりなく、2%増量されたポイントに魅力を感じない利用者が多かったということだ。

ポイントの使い道を解決したいリクルートと、オンラインショッピングモールを取り込みたいPontaが提携するのは当然の流れだろう。2014年7月からリクルートポイントとPontaポイントの相互交換が開始し、2015年春にはリクルートポイントを廃止、Pontaポイントに統合する。共通ポイント「Tカード vs Rポイントカード vs Pontaカード」と全面対決の開始だ。

Tカード、Rポイントカード、Pontaカードを徹底比較

共通ポイントの役割・歴史を紹介してきたが、以降はそれぞれの共通ポイントを比較したい。ただし、オンラインショッピングモールやクレジットカードの比較は行わない。

Tカード Pontaカード Rポイントカード
ポイント名 Tポイント Pontaポイント 楽天スーパーポイント
サービス開始年月 2003年10月 2013年4月 2014年10月
年会費・発行手数料 無料(一部有料の場合あり) 無料 無料(一部有料の場合あり)
ポイント付与率 100円から200円につき1ポイント
1ポイントの価値 1円
ポイントの利用単位 利用単位 1ポイント以上、1ポイント単位 1ポイント以上、1ポイント単位 50ポイント以上、1ポイント単位
1回の利用上限 なし※1 なし 3万ポイント
1ヶ月の利用上限 なし※1 なし 10万ポイント
ポイント有効期限 1年(加算・減算があれば1年延長)
カード保有可能枚数 原則1人1枚 原則1人1枚 1人3枚まで
ポイントの合算 不可 グループ作成で他人のポイントとも合算可(10人まで) 3枚で同じポイントを貯められる(他人と合算不可)
ポイント利用でのポイント付与 ×
加入者数※2 4,918万人 6,466万人
カード加盟店数※3 7万4793店舗 約2万3400店舗 1万3400店舗
加盟店 レンタル TSUTAYA ゲオ
コンビニ ファミリーマート、スリーエフ ローソン サークルKサンクス、ポプラ
ガソリンスタンド ENEOS 昭和シェル石油 出光
飲食 ガスト、バーミヤン、ジョナサン、ドトール、エクセルシオールカフェ、ロッテリア、牛角等 ケンタッキーフライドチキン、大戸屋、ピザハット、和民等 ミスタードーナツ、プロント等
スーパー・百貨店 マルエツ、マミーマート等 ライフ 大丸、松坂屋

※1 Yahoo!ショッピングは10万ポイント
※2 2014年7月末時点
※3 2014年3月末時点

共通ポイントは全て提示するだけでポイントを貯めることができる。そのため、クレジットカードや電子マネーで決済すると、さらに決済時にもポイントを貯めることができる。1ポイントは1円として利用でき、細かいポイントから利用可能となっている。基本的なサービスはどれも大きな違いはない。では、それぞれの違い・特徴を見てみよう。

まず、Tカードの特徴は、圧倒的な加盟店数だろう。10年以上サービスを提供しているだけのことがあり、加盟店数はPontaカードの3倍以上、Rポイントカードの5倍以上だ。ポイントの使い道としてはTポイントが有利だ。

次に、Pontaカードの特徴はグループ機能だ。10人までのグループを作成でき、ポイントを共通で貯めることが可能だ。家族でPontaポイントを貯め、貯めたポイントで子供のお菓子や飲料等を購入するという使い方や、JMB ローソンPontaカードVisaを保有し、JALマイルにPontaポイントを移行、家族旅行に利用すると言う使い方も可能だ。ただし、ポイントの利用はグループオーナーのみとなる。

最後に、RポイントカードはTカード、Pontaカードが加盟していない店舗への導入ということで、加盟店数は少ない。しかし、リアル加盟店を開拓してきた楽天カード、楽天Edyが傘下にある。さらに、楽天には約9,000万人の会員がいる。加盟店にとって、9,000万人の楽天会員が送客されることは魅力的だろう。サービス開始以降、一気に加盟店が増えるものと思われる。また、ポイントの利用単位に注目すると、楽天市場と同様になるため、他の共通ポイントより若干使い勝手は悪くなっている。

結局どの共通ポイントカードが一番おトクなの?

取材時には「どの共通ポイントカードがおすすめか」と聞かれることがあるが、おすすめは3枚とも持つことだ。どれも年会費や発行手数料は無料だ(一部有料の場合あり)。どのポイントでも有効期限は加算・減算があれば1年延長される(期間限定ポイントを除く)。さらに、ポイントの利用単位は少ないポイントから利用可能だ。3つのポイントカードを保有しているだけで、約11万1600もの加盟店でポイントを貯めて利用できるようになる。他のポイントカードは持たなくても、この3枚だけは財布に入れておくと良いだろう。

今回は、それぞれの共通ポイントカードの比較を行ったが、今後は、Rポイントカード(楽天スーパーポイント)、Tカード(Tポイント、Yahoo!ポイント)、Pontaカード(Pontaポイント、リクルートポイント)を1つずつ詳しく取り上げ、おトクな使い方、さらにポイントをザクザク貯める方法を紹介していきたい。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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