2023年12月以降に楽天のSPU変更が発表されてから約1週間経過した。
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楽天のSPUは改悪?改善? 楽天プレミアムカード利用者には改悪、楽天モバイル利用者には改善 SPU以外にも重大な変更点を解説!
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改悪度合いの大きい「楽天プレミアムカード」がXでトレンド入りなどSNSなどでも騒がれた。今回のSPU変更で大きなダメージがある人は「楽天ポイントをたくさんためていた人」だろう。
年会費1万1,000円(税込み)を支払い、SPUで+2倍の楽天ポイントをためていた人、高額利用で上限に引っかかる人が今回の変更は大改悪だ。
この、SPUの改悪で「楽天経済圏をやめる」とSNSで宣言した人もいたようだが、楽天のライトユーザーにとっては、それほど大きな改悪ではない。元々楽天プレミアムカードを利用せず、月2~3万円程度の利用者であれば、+2倍⇒0倍もなく、それぞれの上限に引っかかる事もない。楽天銀行の改悪、5と0のつく日の改悪程度と限定的だ。
では、筆者も含め楽天プレミアムカード以上のカードを保有し、楽天ふるさと納税で数十万円を利用する場合、今回の改悪後に他の経済圏に切り替えられるかどうかだろう。
共通ポイントをベースに経済圏で簡単に比較すると次のようになる。
楽天ポイント | dポイント | Pontaポイント | PayPayポイント | 新Vポイント | WAON POINT | |
携帯電話 | 楽天モバイル | ドコモ | au | ソフトバンク※1 | トーンモバイル (MVNO) |
イオンモバイル (MVNO)※2 |
クレジットカード | 楽天カード | dカード | au PAYカード | PayPayカード | 三井住友カード | イオンカード |
コード決済 | 楽天ペイ | d払い | au PAY | PayPay | ─ | AEON Pay |
共通ポイント | 楽天ポイントカード | dポイントカード | Pontaカード | ─ | Tカード | WAON POINTカード |
証券 | 楽天証券 | THEO+docomo、 マネックス証券※3 |
auカブコム証券 | PayPay証券 | SBI証券 | WealthNavi |
銀行 | 楽天銀行 | dスマートバンク (BaaS) |
auじぶん銀行 | PayPay銀行※4 | 三井住友銀行 | イオン銀行 |
オンラインモール | 楽天市場 | Amazon※5 | au PAYマーケット | Yahoo!ショッピング | ─ | ─ |
フリマ | 楽天ラクマ | メルカリ | ─ | Yahoo!フリマ | ─ | ─ |
※1 ソフトバンクポイントからPayPayポイントに交換可
※2 イオンマークのカード払いで2%還元(通信料金にたいするポイント付与なし)
※3 子会社化の発表あり
※4 Visaデビットカード利用時
※5 ドコモ回線のみd払いで決済可能
表を見ると、強み・弱みが見えてくる。
楽天の強みは3点。1点目は、「楽天○○」で全て統一できている点。2点目は、2002年から開始した楽天ポイントをベースに、全てのサービス連携がうまくできている点。3点目は、キャンペーンなどでたまったポイントをオンラインだけでなくオフライン(街ナカ)でもおトクに利用できる点だ。
SPUなどの改悪があったとしても、これらの強みを消し去るだけの特典が他経済圏にあるかどうかだろう。
では、楽天ポイント以外の経済圏を1つずつ解説したい。
Pontaポイント経済圏
auは2020年にau WALLETポイントをやめ、Pontaポイントに統合した。
auがPontaポイントを採用するまでは、楽天ポイント、dポイントにおされていたが、auがPontaポイントに切り替えたことで一気に復活した共通ポイントだ。auの原資でキャンペーンなどが増加しており、以前よりもたまりやすくなっている。
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Pontaポイントがたまるサービスでは、ほとんどのサービスを「au○○」で統一できており、サービス連携もうまくいっている。auマネ活プランを開始し、金融サービスの連携をさらに強化した。
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しかし、「au経済圏だとPontaポイントがザクザクたまる」と考えている人は少ないのではないだろうか。
auには還元方法が複数あり、「au PAY残高」での還元、「Pontaポイント」での還元、Pontaポイントでも「au PAYマーケット限定ポイント」での還元があり、わかりにくいのも原因の1つだろう。
オンラインモールの「au PAYマーケット」は楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングに比べると見劣りし、Pontaポイントがたくさんたまる特典があったとしても、獲得できるPontaポイントはau PAYマーケット限定の場合が多い。
au PAYマーケット限定ポイントがもう少し使いやすくなり、還元方法もPontaポイントで統一されれば、乗り換え候補としてはなかなか良い。
PayPayポイント経済圏
コード決済のシェアトップであり、筆者もお金のやりとりでPayPayを使う事も多い。現金しか利用できない店舗でも、PayPayは使えるなど、加盟店開拓も圧倒的だろう。
圧倒的な知名度の「PayPay」を利用して、「PayPay○○」への統一を進めているが、サービスの連携でおトクになることが少ない。ようやくPayPay証券のPayPayカード積み立てなども開始し、PayPay以外の金融サービスでもPayPayポイントがたまるようになってきた。しかし、PayPay銀行でPayPayポイントがおトクにたまる特典はないなど、名称を統一しただけで連携不足と言える。
LINE・ヤフー・PayPayのサービスも重複やサービス名の統一ができておらず、例えばPayPayとLINE Pay(PayPayに統合する話もいつの間にかなくなった)、PayPayカードとVisa LINE Payクレジットカードなどはサービスの重複、PayPayモールからYahoo!ショッピングへの統合など、「PayPay○○」で統一できず「Yahoo!○○」なども残るなど統一できていない。
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2022年10月12日(水)にYahoo!ショッピングとPayPayモールが統合した。 従来のPayPayモールのURLは「https://paypaymall.yahoo.co.jp」で始まっていた ...
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さらに、Yahoo!ショッピングの各種キャンペーン特典をPayPayポイントから「ヤフーショッピング商品券」に切り替えており、獲得ポイントの使い道が制限されたのも大きな改悪だ。
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Yahoo!ショッピング、各種キャンペーン特典をPayPayポイントから「ヤフーショッピング商品券」に切替
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楽天が改悪してもYahoo!ショッピングも改悪しており、経済圏の乗り換え先候補としては若干弱い。
dポイント経済圏
dポイントの強みはdカード GOLDだろう。年会費1万1,000円(税込み)にもかかわらず、会員数が1,000万人を突破。年会費無料のdカードの会員数は700万人程度のため、dカード GOLDの利用者の方が多い。通常のカード会社では、ゴールドカード会員が2割程度とも言われており、dカード GOLDの特殊さがわかるだろう。
dカード GOLDを保有していると、ドコモの携帯電話料金やドコモ光の利用料金に対して10%のdポイントを獲得できる。dカード GOLDの提供開始も古く、DCMX GOLDとして2007年4月23日(月)から発行している。
毎月1万円のドコモの料金がある場合、毎月dポイントを1,000ポイント獲得でき、1年間で1万2,000ポイントの獲得。この時点で年会費以上おトクになっており、このように考えている人が1,000万人いると、毎月100億円相当のdポイントがdカード GOLD特典だけで発行されている事になる。
au PAYゴールドカードはau WALLETゴールドとして2016年3月22日(火)から発行、PayPayカード ゴールドは2022年11月24日(木)から発行とdカード GOLDに追いつくにはそれなりに時間がかかりそうだ。
しかし、dポイントは「d○○」が少なく、他社との提携サービスが多い。提携の場合はサービス開始や変更の動きが遅くなる可能性があり、さらに歯車が一度ずれると提携関係も崩壊してしまう危険性がある。
銀行・証券もポイント提携のみだったが、マネックス証券の子会社化の発表もあり、残りは銀行サービスだ。ただし、新規に銀行サービスに参入するのは難しく、現在の三菱UFJ銀行との提携で、どれだけ他社と同等のサービスを提供できるかどうかだろう。
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また、表の中ではオンラインモールにAmazonを含めているが、Amazonでdポイントをおトクにためるには毎週金・土のd曜日にエントリーし、d払いで支払う場合に限る。Amazonでd払いを利用するにはドコモの回線が必要だ。
ただし、キャンペーンなどでたまるdポイントの期間・用途限定ポイントは、THEO+docomoや日興フロッギーで投資に使う事もでき、限定ポイントとしては最も使いやすい。
続いて、2024年春に開始する新Vポイントとグループ内共通ポイントだが、グループ外にも開放しはじめたWAON POINTを見ていこう。
Vポイント(Tポイント)経済圏
最も古い共通ポイント「Tポイント」を吸収するVポイント。
Oliveフレキシブルペイでは、対象のコンビニや飲食店で最大20%還元と、ポイントを大盤振る舞いしている。メガバンクの資金力だろうか。
一方、携帯電話がMVNOしかない点、コード決済・オンラインモールがないのが気になるところだ。しかし、コード決済についてはそれほど大きな問題ではないと考えている。
現在「スマホ決済」と言えば「コード決済」を意味することが多いが、三井住友銀行や三井住友カードは「スマホ決済=タッチ決済」に切り替えさせようと奮闘している。
セブン-イレブンやローソン、ドトールやなどの対象店舗でApple PayやGoogle Payなどでタッチ決済をすると最大7%還元(プラスチックカードは5%還元)とスマートフォンでの支払いを優遇。「スマホ決済=タッチ決済」に持って行ければ面白くなりそうだ。
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また、オンラインモールについてはAmazonで三井住友カードの対象カードやOliveフレキシブルペイを利用するとポイント○倍などの特典(特約店)などもつけると面白い。元々、Amazon Mastercardは三井住友カードが発行しておりAmazonとの関係もある。オンラインの特約店でもポイントアップすれば有力な経済圏になりそうだ。
WAON POINT経済圏
今回の表に入れるか迷ったのがWAON POINTだ。
元々はグループ内共通ポイントであり、イオングループのポイントをまとめたものが「WAON POINT」となる。
しかし、最近はグループ外にも導入を進めており、共通ポイントと言っても良いだろう。
最近は、イオンやイオンスタイルでイオンカード・AEON Payを利用するとポイント10倍なども実施しており、ポイントがたまる機会も増えている。
ただし、まだまだグループ外での利用は少なく、どれだけグループ外でAEON PayやWAON POINTカードを利用できるようになるか。さらに、キャンペーンではなく、恒常的におトクになる特典があると良い。
この他にもJRE POINTやWESTERポイントなどの鉄道会社のポイント、JALやANAなども金融サービスに力を入れており、今後はこれらの経済圏も表に含める時が来そうだ。
さて、最初の楽天経済圏から乗り換えられる経済圏があるのかどうかだが、総合的に考えると、やはり楽天経済圏が一歩リードしているだろう。
今回ダメージを受ける楽天のヘビーユーザーは、"楽天市場"でたくさんポイントをためてきたはずだ。しかし、これまで紹介してきたように、オンラインモールで楽天市場と同じ規模で同程度のポイントを獲得でき、さらに使いやすいポイントを提供している経済圏はない。Yahoo!ショッピングとau PAYマーケットでたまるキャンペーン分のポイントは、そこでしか使えない限定ポイントでの提供となり、この辺りが乗り換えしにくくしている要因だろう。
今後、楽天ポイントの期間限定ポイントの使い先がもっと限定されたり、SPU自体が終了したり、お買い物マラソンの1店舗の利用金額が1万円以上など高額になったりすれば、他の経済圏に乗り換えた方が良くなることもあるが、現時点では、期間限定ポイントを含めたポイントの使いやすさ、サービス連携でのポイントのたまりやすさを考えると、改悪があったとしても、まだ楽天経済圏が有利と言える。