iOSが12.3にアップデートした。このアップデートでエクスプレスカードにクレジットカードを登録できるようになった。
[設定]から[WalletとApple Pay]を選択する。スクロールすると真ん中当たりに「エクスプレスカード」があり、Suicaが登録されている場合が多いだろう。
エクスプレスカードとはFace IDやTouch IDなしで利用できるカードとなり、改札でiPhoneをかざしてもFace IDやTouch IDが必要がないのはこのためだ。
このエクスプレスカードは従来Suicaしか対応していなかったのだが、新たにクレジットカードも登録可能となった。
「エクスプレスカード」をタップすると「支払い用カード」という表記がある。こちらに表示されているカードがエクスプレスカードに登録可能だ。
なお、一覧に何も出ていない場合は、Apple Payに登録しているクレジットカードを一度削除し、再度登録すると出てくる場合がある。
実際に削除⇒再登録してみたのは、以下の6つのカードとなり、エクスプレスカードに登録できるカードとして出てきたのは以下の通りだ。
最初からエクスプレスカードに設定できた | 再登録後にエクスプレスカードに設定できた | |
dカード GOLD | × | × |
プラチナ・カード | × | ○ |
Orico Card THE PLATINUM | ○ | ○ |
三井住友プラチナカード(Mastercard) | × | × |
ラグジュアリーカード | × | ○ |
ザ・クラス | × | × |
おそらく、ある時期以降に登録したカードで、エクスプレスカード対応カードの場合は何もしなくても一覧に表示されるのだろうが、それ以前に登録したクレジットカードの場合は、対象カードであっても一覧に表示されない。
なお、ラグジュアリーカードは削除⇒再登録時にゴールド券面がブラック券面に切り替わってしまったのだが理由は不明だ。
では、クレジットカードをエクスプレスカードに設定して何かメリットがあるのだろうか? 説明文には「選択されたカードはエクスプレスカードとして設定され、優先カードがリーダーで要求されない場合に交通機関の支払いに代替の方法として使用できます」とある。
ここで気になるのは「交通機関の支払い」という事だ。エクスプレスカードに設定したSuicaの場合、交通機関以外でも認証せずに支払える場合もある。
そこで、プラチナ・カードをエクスプレスカードに設定した状態でコンビニで使ってみることにした。レジでは「QUICPayで」と伝えてiPhoneを置いてみたが、やはりダブルクリック⇒Face IDによる認証が必要だった。
特に何も使い方が変わっていない。説明文の「交通機関で」とあるが、日本国内ではクレジットカードを交通機関で使う事ができない。
そこで、Appleのサイトでエクスプレスカードについて最新情報を探してみたが特に新たなことがわからなかった。
しかし、5月17日(金)に「Apple Payで利用できる交通機関」「Apple Payでエクスプレスカードを使う」「Apple Payで運賃の支払いに使うカードをWalletで設定する」と言うページが新たに追加されており、この情報から考えると、日本以外の国の交通機関で利用できる場合があると言う事のようだ。
現時点では中国の北京「北京市政交通カード」と上海「上海交通カード」、米国のポートランド「TriMet」がエクスプレスカードに対応している。ただし、中国の場合もSuicaのような交通系ICカードがエクスプレスカードとなっているため、米国のポートランドだけがクレジットカードのエクスプレスカードに対応しているという事だろう。
なお、英国のロンドン「Transport for London」や、米国のシカゴ「Ventra system」、カナダのバンクーバー「TransLink」などはコンタクトレス決済に対応しているため、Apple Payを利用する事ができるが、エクスプレスカードに対応していないためにFace IDやTouch IDなどの認証が必要となる。
従って、日本国内でiPhoneやApple Watchを利用する場合は、エクスプレスカードにクレジットカードを登録する必要はほとんどなさそうだ。今後、他国の交通機関でエクスプレスカードに対応する可能性があるため、念のために設定しておく程度と考えよう。なお、日本のエクスプレスカードのように、コンビニでSuicaを使うときに認証が不要になるようなことはなく、交通機関以外でのコンタクトレス決済の利用時には必ず認証が必要となるようだ。