Vポイントはグループ内共通ポイント
2022年10月3日(月)に発表された、TポイントとVポイントの統合発表後、多くのメディアで取材を受けている。
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Tポイントは2003年に開始した共通ポイントとなり、その後、2010年にPontaポイントが誕生するまで共通ポイントの独占となっていた。2014年に楽天ポイント(楽天ポイントは2002年から発行されているが、実店舗で使えるようになったタイミング)、2015年にdポイントの開始となっており、最近勢いのある楽天ポイントとdポイントよりも10年以上前から発行されている。
一方、Tポイントと統合するVポイントとは何なのか。Vポイントはいわゆる共通ポイントではなく、グループ内共通ポイントだ。三井住友フィナンシャルグループのポイントで、三井住友銀行、三井住友カード、プロミスのポイントが統一されたポイントプログラムとなる。
グループ内共通ポイントとは、同じグループで別々のポイントプログラムを統合したポイントプログラムだ。例えば、JR東日本は駅ビルのポイント、Suicaのポイント、ビューカード(クレジットカード)のポイント、えきねっと(オンラインのきっぷ予約サービス)のポイントなど、全て別々になっていた。このポイントを全て統合したのがJRE POINTとなる。
グループ内のポイントプログラムを統合すると、グループ内でクロスユース率を上げることができる。利用客の1人が複数のサービスを利用するのがクロスユースとなり、共通ポイントの特徴である「送客」を自社内のグループで行う事が可能だ。
あるアパレル企業がポイントプログラムの統合後と統合前では2ブランド以上で購入する人が1.8倍になったとのデータもあり、JR東日本のJRE POINTだけでなく、阪急阪神グループのSポイント、イオングループのWAON POINT、JR九州のJRキューポなどがある。2023年にはJR東海のTOKAI STATION POINT、JR西日本のWESTERポイントが開始する予定となっており、今後もグループ内共通ポイントは増えていくだろう。
三井住友フィナンシャルグループの場合は、三井住友銀行の「SMBCポイント」、三井住友カードの「ワールドプレゼント」のポイント、プロミスの「おとくらぶ」のポイントを統合したポイントをVポイントとしてまとめた。
三井住友銀行のオンラインバンキング「SMBCダイレクト」にログインしたり、投資信託を取引したりするとVポイントがたまり、三井住友カードを利用してもVポイントがたまる。それぞれ、別のVポイントとなるが、アカウントの連携を行う事で、三井住友銀行でためたVポイントと三井住友カードの利用でためたVポイントを統合して利用する事ができる。
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Vポイントの保有残高は多い
ドコモの「第31期 財務諸表(2021年4月~2022年3月末)」を確認すると、ポイント引当金は16,755百万円。一方、三井住友フィナンシャルグループの「2022年3月期 決算短信(2021年4月~2022年3月末)」を確認すると、ポイント引当金は25,000百万円とある。
ポイント引当金とは、有限責任監査法人トーマツによると以下のように書かれている。
ポイントは、商品の販売という過去の事象に起因して発生し、将来のポイント使用時に費用が発生するため、将来の使用見込みを合理的に見積もった上で引当金として負債計上する。
将来使われる可能性のあるポイントを算出した金額となるため、どのくらいのポイント残高があるかをある程度把握できる。もちろん、有効期限や利用率も異なるため、全く同じように比較することはできないが、Vポイントの保有残高はかなり大きい事がわかるだろう。
実際、筆者が2021年の1年間でためたVポイントは191,054ポイント。家族も三井住友カードを保有しており、同じ期間でためたポイントは25,086ポイントと、合計すると216,140円相当のポイントを獲得していることになる。1つのポイントプログラムだけで1年間で20万円相当のポイントをためられると考えると、非常にたまりやすいポイントと言えるだろう。
Tポイント・Vポイント連合の注目点は?
Vポイントは、クレジットカードで固定費や買い物などで利用していると自動的にたまるポイントとなり、Pontaポイント、dポイント、楽天ポイントのように自動的にたまっていくポイントだ。
Tポイントとの統合で、Vポイントの知名度がアップし、Vポイントアプリ(Visaプリペイド)にチャージせずに利用できるようになると、一気に使い勝手が向上する。また、これまでたまりにくい共通ポイントの筆頭だったTポイントが、たまりやすくなるとTポイント・Vポイント連合が他の共通ポイントに対抗できる可能性は高い。
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Vポイントを原資としたTポイントとしての送客力は復活すると思われるが、ポイント経済圏としては気になるところがある。携帯電話とECに弱い点だ。また、新ブランドの立ち上げでTポイントの名称を変更する可能性もあり、せっかくの知名度を利用しない可能性もある。この辺りをどのように解消していくかに注目したい。