明暗が分かれたTポイントとPontaポイント Tポイントはどこに向かうのか

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明暗が分かれたTポイントとPontaポイント Tポイントはどこに向かうのか

ヤフーサービスでのTポイントからPayPayボーナスの変更は既定路線

2022年4月以降にYahoo!ショッピングやPayPayモールでTポイントではなくPayPayボーナスが貯まるようになる。

一部サービスを除き、2022年4月以降にYahoo! JAPANのポイント付与がPayPayに変更
一部サービスを除き、2022年4月以降にYahoo! JAPANでのポイント付与がPayPayに変更

Yahoo! JAPANでは、2022年4月1日(金)以降、一部サービスを除きYahoo! JAPANのTポイント利用・付与がPayPayに変更となる。 Yahoo!ショッピングとPayPayモールで ...

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また、ソフトバンクもTポイントを終了し、PayPayボーナスに交換できるソフトバンクポイントに切り替える。

ソフトバンク、Tポイントの付与を終了し、PayPayに交換できるソフトバンクポイントを開始
ソフトバンク、Tポイントの付与を終了し、PayPayに交換できるソフトバンクポイントを開始

ソフトバンクは、2022年4月1日(金)より、毎月の通話・通信料の支払いなどで貯まる「ソフトバンクポイント」の提供を開始する。 ソフトバンクポイントは、毎月のスマートフォン・携帯電話の利用料金に対して ...

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既にYahoo!ショッピングではPayPayを中心にキャンペーンが実施されており、キャンペーン以外もTポイント付与ではなく、PayPayボーナスが貯まるようになるのは時間の問題だった。

ヤフー、2019年8月からYahoo!ショッピングなどで付与する期間固定Tポイントを「PayPay」に変更

ヤフーは、2019年8月より、ヤフー関連サービス上でキャンペーンなどで付与している期間固定Tポイントを、PayPayで利用できる電子マネー「PayPayボーナス」または「PayPayボーナスミニ」に変 ...

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Tポイントは勢いを失っているが、逆に息を吹き返したのがPontaポイントだ。以前、「Ponta正念場」という記事を書いたことがあるが、Pontaが復活したのはKDDIとの提携があったためだろう。

Ponta正念場(上) ーローソンでPontaカード、dポイントカード、Rポイントカードが利用可能にー

目次1 ローソンがRポイントカードを導入?2 ローソンでのPontaカード提示率は減少する ローソンがRポイントカードを導入? 2015年7月30日(木)の日経ビジネスオンラインの記事によると、ローソ ...

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Pontaが勢いづいている理由とは?

なぜ、PontaがKDDIと提携したことで復活したのか。

共通ポイントに加盟する企業の目的は"相互送客"だ。他の加盟店のお客さんを送ってもらい、自社のお客さんを他の加盟店に送るのが共通ポイントの仕組みとなる。

今さら聞けない共通ポイント Tカード(Tポイント)、Pontaカード(Pontaポイント)、Rポイントカード(楽天スーパーポイント)の歴史から徹底比較

目次1 なぜ、企業は共通ポイントに参加するの?2 Tポイント(Tカード)が注目された理由3 Pontaカード(Pontaポイント)が開始した理由4 Rポイントカード(楽天スーパーポイント)が開始する理 ...

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しかし、楽天ポイントやdポイントは、加盟店にとって"相互送客"ではなく、ほぼ一方的な"集客"となる。楽天市場などでは楽天グループの利用でポイントがアップするプログラムであるSPU(スーパーポイントアッププログラム)などのキャンペーンで楽天ポイントが大盤振る舞いされており、その楽天ポイントを楽天ポイントカードなどの加盟店に送っている。楽天が2020年に発行したポイント数は4,700億円。このポイントを加盟店に送ります、と言われれば他の共通ポイントを導入していたとしても楽天ポイントカード加盟店にひっくり返る事はあるだろう。

dポイントも同様、ドコモ側がキャンペーンやdカード GOLDなどでポイントを大盤振る舞いしている。dカード GOLDは年会費11,000円(税込)のゴールドカードとなるが、会員数は800万人を突破。年会費無料のdカードよりも保有者が多い。

dカード GOLDはdカード会員の55%以上!? 通常のゴールドカードの保有率よりも圧倒的に高い割合
dカード GOLDはdカード会員の55%以上!? 通常のゴールドカードの保有率よりも圧倒的に高い割合

ドコモは2021年4月9日(金)に、dカード GOLDの会員数が800万を突破したと発表した。 dカードとdカード GOLDの利用者数が掲載されており、全体では約1,440万人、dカード GOLDが約 ...

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なぜ年会費が11,000円もするゴールドカードを保有しているのだろうか。理由は、ドコモの料金やドコモ光の料金に対して10%のdポイントを獲得できるためだ。1ヵ月10,000円程度のドコモ料金がある場合、毎月1,000ポイントを獲得できる。1年で12,000ポイント獲得できれば、年会費以上おトクになる計算だ。毎月1,000ポイントを獲得しているdカード GOLD会員が800万人いると考えると、1ヵ月で80億円分のdポイントが発行されており、これはドコモ負担のポイントとなるはずだ。以前PayPayが行っていた100億円あげちゃうキャンペーンを毎月行っているようなイメージと考えるとわかりやすい。

ここ数年でTポイントやPontaの加盟店から楽天ポイントやdポイントの加盟店に鞍替えする企業も多い。例えば大戸屋はPontaポイントから楽天ポイントに切り替え、ドトールはTポイントからdポイントに切り替え、ファミリーマートはTポイントのみの取り扱いだったが、dポイントと楽天ポイントが追加となっている。共通ポイントを鞍替えする理由は圧倒的な送客力に魅力を感じてのことだろう。

しかし、PontaがKDDIと提携したことにより、KDDIが発行する大量のポイントをPonta加盟店に送客できるようになり、一気にPontaが復活。au PAYを利用すると最大20%のPontaポイントを還元する「たぬきの大恩返し」などのキャンペーンを実施し、Pontaが攻めに転じている。

一方、ソフトバンクやヤフーもポイントの大盤振る舞いを行っているが、大盤振る舞いするポイントがTポイントではなく、PayPayボーナスとなる。PayPay加盟店への送客効果はあるが、Tポイント加盟店への送客効果は見えてこない。このような事から、Tポイントは厳しい状況になっている。

ポイントブームの火付け役はTポイント+ヤフーだったが…

実は、ここ10年間のポイント再編の火付け役はTポイントとヤフー陣営であり、これがなければ、そもそも楽天がリアル加盟店でのポイントサービス参入やドコモがdポイントを開始したり、KDDIとPontaが提携したりする事もなかったのかもしれない。Yahoo!ポイントとTポイントの統合は、過去10年間で最もポイント業界に影響を及ぼしたニュースと言えるだろう。

発表当時はTポイントはANAと相互ポイント交換を行っており、Yahoo!ポイントはJALと相互ポイント交換を行っていた。このTポイントとYahoo!ポイントが統合するという事はANAとJALのマイルが相互に交換できるようになる。

TポイントとYahoo!ポイントの関係

TポイントとYahoo!ポイントの関係

さらに、TポイントとYahoo!ポイントが統合すると、Tポイントとnanacoポイントの相互交換が可能になる。当時はTポイント=ファミリーマートであったため、ファミリーマートで貯めたTポイントをnanacoポイントに交換すればセブン-イレブンで利用可能となった。そのため、2013年3月にはYahoo!ポイントとnanacoポイントの提携が解除。同じくJALとYahoo!ポイントの提携も解除となった。宙ぶらりんになったnanacoポイントは同年4月にANAと提携。

発表から約1年後の2013年7月にYahoo!ポイントが廃止されTポイントに統合。

ここからの動きが激しい。2014年5月にauがau WALLETを開始し、au WALLETプリペイドカード(現au PAYプリペイドカード)にポイントをチャージする事でMastercard加盟店で利用できるようになった。同年7月にはソフトバンクポイントがTポイントに切り替えとなる。同じ月にリクルートポイントとPontaポイントが提携を開始。

2013年7月時点でのポイント提携図

2013年7月時点でのポイント提携図

2014年10月には楽天が実店舗で利用できる楽天ポイントカード(当時はRポイントカード)を発行した。ヤフー+Tポイント+ソフトバンク連合 vs リクルート+Ponta連合+楽天と言う構図だ。auとソフトバンクに出遅れたドコモも2015年12月にdポイントを開始。現在の4大共通ポイントの誕生だ。

dポイントの参加で4大共通ポイントの誕生

dポイントの参加で4大共通ポイントの誕生

2016年2月にはJR東日本のポイントプログラムを統合するJRE POINTを開始し、同年4月には阪急阪神グループがSポイントを開始。6月にはイオングループがWAON POINTを開始し、現金でもイオングループでポイントを貯められるようになった。2016年はグループ内共通ポイント元年と言えるだろう。

2017年7月にはJR九州のインターネット列車予約サービス、クレジットカードのJQ CARD、IC乗車券SUGOCAのポイントが統合され、JRキューポとして誕生。2017年12月にSuicaポイントがJRE POINTに、2018年6月にビューカードのポイントであるビューサンクスポイントがJRE POINTに切り替わり、JR東日本の大部分のポイントはJRE POINTになった。

2019年11月にはファミリーマートがファミペイを開始し、Tポイントだけでなくdポイントと楽天ポイントにも対応。その後、au WALLETのポイントがPontaポイントに統合。2020年5月の事だ。auの大盤振る舞いが始まり、ここからPontaの快進撃が始まる。

2021年5月にはリクルートポイントがdポイントと提携。同年6月にえきねっとポイントがJRE POINTに統合し、9月にはイオンカードのときめきポイントがWAON POINTに変更。

このように、これまで様々なポイントプログラムの提携・統合などがあったが、元を辿ると2013年7月のYahoo!ポイントを廃止しTポイントの統合がきっかけとなっている事がわかるだろう。この統合がなければポイント業界は全く別の進化となっていたはずであり、2022年4月にヤフーサービスの一部でTポイントを終了、ソフトバンクがTポイントからソフトバンクポイントに変更されるのは感慨深い。

2022年4月以降のポイント提携図

2022年4月以降のポイント提携図

2023年には20周年を迎えるTポイント 次の一手は?

現在、TポイントとしてはTマネーでの高還元キャンペーンやT NEOBANKの開始、SBI証券やネオモバ証券でのTポイント利用なども積極的に開始しているが、キャンペーンなどがどこまで続けられるかどうかだろう。やはり数十パーセントのポイント還元を行う場合、ポイント発行の原資が必要となり、○○経済圏と言った企業との提携がなければキャンペーンを続けるのは難しい。

ここからは完全に筆者の考えとなるが、Tポイントの今後を少し考えて見た。

常に10%程度のポイントを付与しているのが家電量販店や百貨店などとなり、提携するのも良いと思った。しかし、これらは自社で発行したポイントを再度使ってもらうための仕掛けのため、付与したポイントが共通ポイントとしてコンビニなどで使われると成り立たないモデルだ。

ネットショッピングで共通ポイントを導入していないAmazonとの組み合わせも考えてみた。Amazonはd払いとの提携があり、dポイントを使う事ができるが、共通ポイントを導入しているわけではない。

Amazonポイントの開始は2007年と意外と老舗のポイントサービスだ。しかし、共通ポイントなどのように上手に利用されているとも思えない。

Amazonではスマホ決済のAmazon Payもリアル加盟店で提供しているが、正直力の入れ具合はイマイチだ。Tポイントと提携することで、実店舗の導入は進みやすくなる。ただし、Amazonで発行したポイントを他の企業への送客するツールで考えると、この組み合わせも可能性は低い。

○○ペイでは、TOYOTA Walletが提携先としては面白いかもしれない。コード決済は銀行Pay、BANK Pay、TS CUBIC Payに対応し、非接触決済はiD/Mastercard、QUICPay/JCBに対応。オンラインはMastercard加盟店で利用できる。TS CUBIC CARDの利用明細も確認できるなど、様々なスマホ決済に対応しているのも特徴だ。

TOYOTA Walletの残高をiD/Mastercard残高、QUICPay残高にチャージして利用すると2%相当を還元するサービスも開始となり、決済分野には力を入れている。ポイントの提携はないため、提携先としては面白い。ただし、TマネーとTOYOTA WalletのiD/Mastercardが被ってしまう。ヤフーとTポイントがうまくいかなかった理由として、やはり同じようなサービスを提供している事があったためだろう。

最もすっきりするのは、PayPayがTポイントを吸収し、「PayPayポイントカード(Tカードをリニューアルした場合)」を発行する事だ。Yahoo!ショッピングやPayPayモール、PayPayで大盤振る舞いしているPayPayボーナスを、PayPayポイントカード加盟店に送客できるため、Tポイントの一人負けは避けられる。PayPayとしても共通ポイントを一から作り、加盟店開拓するよりは、Tポイントの加盟店を全て吸収した方が早い。

ポイント名 Tポイント PayPayボーナス dポイント 楽天ポイント Pontaポイント
携帯キャリア ソフトバンク
ワイモバイル
ドコモ 楽天モバイル au
共通ポイント Tカード dポイントカード 楽天ポイントカード Pontaカード
クレカ TカードPrime等 PayPayカード dカード 楽天カード au PAYカード
リクルートカード等
スマホ決済 PayPay d払い 楽天ペイ au PAY
銀行 T NEOBANK PayPay銀行 楽天銀行 auじぶん銀行
証券 SBI証券 PayPay証券 SMBC日興証券 楽天証券 auカブコム証券
ネットショッピング Yahoo!ショッピング
PayPayモール
Amazon
(ドコモユーザーのみ)
楽天市場 au PAYマーケット
ポンパレモール
提携コンビニ ファミリーマート セブン-イレブン ローソン
ファミリーマート
ファミリーマート ローソン

現在、Tポイント・ジャパンの主要株主を確認すると、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、Zホールディングス、ソフトバンクとあるように、Zホールディングスもソフトバンクも株主として残っているため、可能性がないわけでもない。

ただし、いくつか不具合もある。スマホ決済サービスとしてTポイントと提携しているファミペイからはTポイントの機能が消えそうだ。また、Tポイントは金融サービスとも提携もあり、SBI証券でTポイントを使った投資ができたり、T NEOBANKで銀行サービスを提供していたりするが、PayPay証券やPayPay銀行との兼ね合いも出てくる。

2023年にはTポイントは20周年を迎える。筆者以上にTポイント陣営は考えているだろう。日本のポイント文化を長年牽引してきた老舗のTポイントの応戦に期待したい。

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菊地崇仁

1998年に法政大学工学部を卒業後、同年日本電信電話株式会社(現NTT東日本)に入社。社内システムの開発、Lモードの料金システム開発、フレッツ網の機器検証等に携わり2002年に退社。同年、友人と共に起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイント探検倶楽部に掲載されているポイントは約230種類。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。 三児の父であり家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。 45枚のクレジットカードを保有し、約70万円の年会費を支払っている。一般カードからプラチナカード等のプレミアムカードを実際に保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。すべてのカードを利用し、おトクな使い方、おすすめの使い方を日々研究中だ。

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