イオンがツルハホールディングスの株を購入するとポイント業界はどうなる? 共通ポイント業界はかなり複雑化(菊地崇仁)

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イオンがツルハホールディングスの株を購入するとポイント業界はどうなる? ウエルシアとツルハがポイントプログラムを統合した場合にどのポイントが残るのか(菊地崇仁)

イオンは、2024年1月29日(月)に「株式会社ツルハホールディングスの株式取得のための独占交渉開始についてのお知らせ」を公開した。

ツルハの株をオアシスが運用するオアシス・ファンドから取得する事について、オアシスとの間で独占的に交渉を開始するとのことだ。

現在、イオンはツルハの株を約13%保有しており、さらに持ち分を増やすと、ツルハはイオン傘下に入る可能性がある。イオン傘下にはウエルシアもあり、ツルハがウエルシア傘下になった場合、気になるのはポイントがどのようになるのかだ。

現在、ツルハではツルハポイントカードと楽天ポイントカードの併用が可能だ。ウエルシアではTカードとWAON POINTカードを併用できる。

  • ツルハ … ツルハポイントカード+楽天ポイントカード
  • ウエルシア … Tカード+WAON POINTカード

経営統合したココカラファインとマツモトキヨシの例を見てみよう。それぞれのポイントは当初は以下のようになっていた。

  • ココカラファイン … ココカラクラブカード or dポイントカード or 楽天ポイントカード
  • マツモトキヨシ … マツモトキヨシ現金ポイントカード+dポイントカード

これが、ココカラファインで楽天ポイントカードがはずれ、ココカラクラブカード+dポイントカードの2重取りに変更。現在は、ココカラポイントとマツキヨポイントが統合し、マツキヨココカラポイントとなっており、マツキヨココカラポイントカード+dポイントカードとポイントプログラムが統合されている。

ココカラファインとマツモトキヨシのように、ツルハとウエルシアがポイントプログラムを統合できるかというと、なかなか難しいだろう。

ツルハは独自ポイント(ツルハポイントカード)+共通ポイント(楽天ポイントカード)、ウエルシアは共通ポイント(Tカード)+グループ内共通ポイント(WAON POINTカード)となり、全てのポイントが異なっている。

現在のポイントプログラムをそのまま運用すると言う事もあるが、ポイントプログラムは統一した方が効果は高い。

ポイントプログラムを統一する場合、ツルハポイントカード+楽天ポイントカード+Tカード+WAON POINTカードの4重取りになる可能性はほとんどない。残るポイントカードは2つか3つ。3つの場合は併用ではなく選択制になるだろう。

ウエルシアでのTポイントは「ウエル活」としても親しまれており、これをはずすのはなかなか難しい。2024年4月22日(月)にはTポイントの名称が消滅し、Vポイントに統合となる。Vポイントは三井住友カードの対象カードを対象コンビニや飲食店でタッチ決済で利用すると7%のポイントを獲得可能だ。

TポイントとVポイントの統合により、消費者にとってはウエル活が今まで以上にやりやすくなるメリットがあり、ウエルシアとしては、自社でポイントを大量に発行せずとも、他社で発行されたVポイントをウエル活として消費してくれるわけで、Tポイントの導入効果は高まるだろう。

判断が難しいのはWAON POINTカードだ。ドラッグストアが自社ポイントと共通ポイントを導入している理由としては、圧倒的なユーザー数の共通ポイントで集客し、集客したユーザーに自社ポイントカードの会員になってもらうため、ダブルでポイントを付与している。

共通ポイントには個人情報を登録しているが、加盟店は個人情報までアクセスできない。個人情報にアクセスするには独自ポイントカードの運用が必要となり、ツルハポイントカードはそのために必要だ。

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グループ企業であればWAON POINTカードの個人情報にアクセスできるのであれば自社ポイントとして考える事ができ、その場合はツルハポイントカードはWAON POINTカードで代用できる。その場合、ツルハポイントカードからWAON POINTカードに移行すればよさそうだ。

残るは楽天ポイントカード。ツルハでどれだけ楽天ポイントカード導入の効果があったか検証できるはずで、効果が高いとなった場合はWAON POINTカード+Tカード or 楽天ポイントカードと言う選択肢もある。

ウエルシア(傘下になった場合はツルハも?)のお客様感謝デーで1.5倍の利用ができるポイントをWAON POINTのみにし、Tポイントと楽天ポイントの選択制にするとツルハとウエルシアのポイントプログラムを統一できるかもしれない。

そもそも、ツルハがイオンの傘下になると決まっていないため、あれこれ考える必要はないのだが、傘下になると決まったときにはポイント業界に大きな影響があるだろう。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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