Pontaポイント、楽天ポイント、dポイント、PayPayポイント、Vポイントの5大ポイントに加え、WAON POINTやJRE POINTなど、新しいポイント経済圏も頭角を現している。
さまざまな業種がポイント経済圏争いに参加しているが、出遅れているのはセブン&アイ・ホールディングスだろう。
コンビニでは圧倒的に強いセブン-イレブンに加え、電子マネーのnanaco、クレジットカードのセブンカード・プラス、セブン銀行やなど、経済圏争いに必要な金融サービスはそろっている。
では、なぜセブン経済圏がうまくいっていないのか。
失敗その1.7pay
大きな失敗は2019年7月1日(月)に開始した7payだろう。不正利用が判明し、同年9月30日(月)にサービスを廃止している。
この2018年~2019年は「○○Pay」元年と言っても良いくらい、「○○Pay」が誕生した。
2018年10月5日(金)にはPayPay開始、2019年3月14日(木)にメルペイがコード決済を開始。2019年4月9日(火)よりau PAY、7月1日(月)にFamiPayが誕生した。
-
-
PayPay、QRコードやバーコードで決済できるサービスを開始
ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPayは、2018年10月5日(金)より、バーコードを使った実店舗でのスマホ決済サービス「PayPay」の提供を開始した。 PayPayは、あらかじめ銀行口座 ...
続きを見る
-
-
au PAYが開始 au WALLETプリペイドカードを利用していると残高をそのまま利用可能
KDDIは、2019年4月9日(火)より、au WALLETアプリにバーコードやQRコードを提示して読み取ってもらうことで支払うことができる「au PAY」を開始すると発表した。 支払はau WALL ...
続きを見る
-
-
メルペイ、Android版のコード決済を提供開始
メルペイは、2019年3月19日(火)より、Androidでもコード決済機能「コード払い」の提供を開始した。 iOS版は2019年3月14日(木)に提供開始していたが、新たにAndroid端末でもコー ...
続きを見る
-
-
ファミリーマート、2019年7月からファミペイを開始 バーコード決済「FamiPay」も開始
ファミリーマートは、2019年7月1日(月)より、クーポンもポイントも決済もワンストップで利用できるスマートフォンアプリ「ファミペイ」を開始すると発表した。また、ファミペイ上で利用できるバーコード決済 ...
続きを見る
なぜ、2018年~2019年にかけて多くのコード決済サービスが誕生したのか。
2019年10月には消費増税があり、同じタイミングでキャッシュレス消費者還元事業(ポイント還元事業)が開始している。中小企業で対象のキャッシュレス決済サービスを利用すると5%のポイント還元、フランチャイズ店では2%還元となり、2020年6月末まで実施された大型キャンペーンだ。
ポイント還元事業の前にコード決済サービスを開始し、大量のポイント発行原資を政府に負担してもらう事で、コード決済サービスを一気に軌道に乗せようとしたのだろう。
しかし、2019年7月2日(火)には7payで不正利用が発覚し、8月1日(木)にはサービス廃止が決定。9月30日(月)でサービス終了を余儀なくされ、コード決済サービスから撤退。
2020年10月には、セブン-イレブンアプリにPayPayを搭載し、自社でのコード決済サービスを諦めた。
-
-
セブン-イレブンアプリにPayPayが搭載 1つのバーコードでポイント獲得と決済が可能に
セブン-イレブン・ジャパンは、2020年10月以降、セブン-イレブンアプリ内の決済機能としてPayPayを搭載する。 セブン-イレブンアプリにPayPayが搭載されることで、画面上にPayPayの支払 ...
続きを見る
2021年2月1日(月)には三井住友カード(NL)でセブン-イレブンやローソンなどでタッチ決済を利用すると5%還元となるサービスを開始し、それ以降、さまざまなクレカ(SAISON GOLD Premium、三菱UFJカードなど)がセブン-イレブンでポイントアップ特典を追加してきた。
-
-
三井住友カード、ナンバーレスカードを発行 コンビニなどでの還元率は最大5.0%に
三井住友カードは、2021年2月1日(月)より、カード券面からカード番号・有効期限・セキュリティコードの表記をなくしたナンバーレスカードの発行を開始した。 ナンバーレスカードはカード券面からカード情報 ...
続きを見る
-
-
クレディセゾン、金属質感(メタルサーフェス)カード「SAISON GOLD Premium」を発行
クレディセゾンは、2022年7月29日(金)より、金属質感のクレジットカード「SAISON GOLD Premium」の発行を開始する。 「SAISON GOLD Premium」は、金属質感のクレジ ...
続きを見る
-
-
三菱UFJカードで2022年7月からローソン・セブン-イレブンで5.5%還元など7つの新サービス・特典を開始
三菱UFJニコスは、2022年7月1日(金)より、三菱UFJカードの個人会員向けにポイントサービスの拡充やタッチ決済のラインナップ追加など、新たに7つのサービス・特典を開始した。 三菱UFJカードは、 ...
続きを見る
7payが軌道に乗っていれば、他社での高還元クレカをファミリーマートと同じように排除していたのではないだろうか。
-
-
三井住友カードの大手コンビニ最大5%還元 ファミリーマートでの5%還元が終了に
三井住友カードは、2022年12月15日(木)で対象の店舗で対象カードをタッチ決済で利用すると最大5%還元となるサービスからファミリーマートを除外する。 三井住友カード(NL)、三井住友カード ゴール ...
続きを見る
セブン-イレブンとしては、高還元クレカに頼れば、集客の原資を負担する必要はない。しかし、高還元クレカ側が力を持ち始めると、クレカ側が還元率をアップするお店を選べる事になる。セブン-イレブンとしては、他の経済圏に集客を任せることになり、やはり自社の経済圏があった方が良いだろう。
失敗その2.セブンマイルプログラム
さらに、セブン-イレブンではセブンマイルプログラムを2018年6月より開始しており、このポイントがnanacoポイントではなく、「マイル」というのも失敗だろう。
-
-
セブンマイルプログラムって何? 2018年6月よりセブン&アイグループで開始
2018年6月からセブン&アイグループで開始するのが「セブンマイルプログラム」だ。セブン&アイグループで横断的な特典の利用が可能となる。 6月に開始するのがセブン-イレブンの「セブン-イレブンアプリ」 ...
続きを見る
200円(税抜き)につき1マイルたまり、たまったマイルはnanacoポイントやGoogle Playギフトコード、Apple Gift Cardなどに交換して利用できる。
しかし、セブンマイルプログラムにログインするのは7iDで統一されているにもかかわらず、店舗ごとにアプリが異なり、それぞれのアプリをダウンロードする必要がある。
以前、西武・そごうでセブン-イレブンアプリのバーコードを提示したところ、西武・そごうのアプリが必要とのことで、わざわざそこでインストールする必要もないと感じたため、マイルをためなかった事がある。
WAON POINTやJRE POINTなど、新たに経済圏に参入しているグループは、バラバラだったポイントプログラムを1つのポイントにまとめている。セブンマイルプログラムは、nanacoポイントではなく、新たに「マイル」を発行。これが新たなポイント経済圏争いに参入している企業との違う点だ。
セブン銀行ATMの利用でも「マイル」がたまるサービスも開始するなど、ようやく金融サービスの連携を開始した感じもする。
-
-
セブン銀行での入出金でセブンマイルがたまるサービスが始まっていた! 毎月15マイル=15円分獲得可能!(菊地崇仁)
先日、セブン銀行の金融サービス利用でセブンマイルがたまる案内メールが届いた。セブン銀行のアプリから7iDをひも付け、対象の銀行取引でセブンマイルがたまるとのこと。 セブン銀行ATMでのキャッシュカード ...
続きを見る
しかし、マイルとnanacoポイントが分かれていたり、それぞれの店舗アプリをインストールしなければならなかったり、まとまりがないのは使い勝手が悪い。
7payの失敗により、セブン-イレブンでnanacoよりもおトクなクレカが多数誕生した点、新たに立ち上げたポイントプログラムはnanacoポイントを軸にしなかった点の2点が筆者の考えるセブン経済圏がうまくいっていない理由だ。