西友が楽天と提携したことで流通系ポイントも競争激化に WAON POINTやnanacoポイントはどうなる?

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ポイントプログラムから見た西友と楽天の提携に関する影響とは? WAON POINTやnanacoポイントの流通系ポイントも競争激化に

2022年4月以降、楽天と西友が提携する。楽天ポイントを軸としたサービスを開始すると発表があった。

楽天グループと西友、2022年4月から「楽天ポイント」を軸にしたサービスを開始 楽天カード 西友デザインも発行
楽天グループと西友、2022年4月から「楽天ポイント」を軸にしたサービスを開始 楽天カード 西友デザインも発行

楽天グループと西友では、2022年4月1日(金)より、西友、リヴィン、サニー全店舗で楽天ポイントを活用した特典を開始する。 4月1日(金)より、クレジット機能付きオリジナルデザイン楽天カード「楽天カー ...

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元々、楽天と西友は、2018年10月より「楽天西友ネットスーパー」を開始し、2019年4月には「Rakuten Pasha」、2020年12月には「楽天ペイ(アプリ決済)」、2021年11月には「楽天チェック」を導入し、連携を深めてきた。

楽天西友ネットスーパーがオープン 初回500円クーポンのキャンペーンも

楽天と西友は、2018年10月25日(木)より、両社が協働運営するネットスーパー「楽天西友ネットスーパー」をオープンした。 「楽天西友ネットスーパー」は、楽天IDで利用する事ができ、西友の生鮮食品など ...

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新たに、西友デザインの楽天カードの発行、楽天ポイントカード、楽天Edyを導入し、楽天の決済サービスが全て導入されることになる。

今回の連携強化で重要な点は、大手スーパーマーケットでの楽天ポイントカード導入と楽天Edy導入ではないだろうか。

業界1位・2位・3位までが共通ポイントを導入していなかった

ライフではPontaポイントとdポイント、マルエツや東武ストアではTポイント、楽天ポイントは東急ストアで導入されている。

共通ポイント スーパーマーケット
Pontaポイント ライフ
dポイント ライフ
Tポイント マルエツ、東武ストア
楽天ポイント 東急ストア

スーパーマーケットのシェアと売上高を調べたところ、イオンが業界1位、2位がイトーヨーカドー、3位が西友、4位がライフとなっている。スーパーマーケット業界に詳しいわけではないため、マルエツ、東急ストア、東武ストアの売上高での順位は不明だが、1位と2位の差、2位と3位の差が非常に大きい。

順位 名称 2020年度
1 イオン 18,161億円
2 イトーヨーカドー 10,532億円
3 西友 7,850億円
4 ライフコーポレーション 7,363億円
参考 マルエツ 3,820億円
参考 東急ストア 2,046億円
参考 東武ストア 836億円(2018年度)

ライフがPontaポイントとdポイントを全店に導入したのが2018年5月のこと。

食品スーパーのライフ、Pontaポイント・dポイントを全店に導入

ライフコーポレーションは、2018年5月29日(火)より、Pontaポイントとdポイントのサービスを開始すると発表した。 会計時にPontaカードまたはdポイントカードを提示すると200円(税抜)につ ...

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ライフの売上高を決算書からグラフ化すると以下のようになる。正直、共通ポイント導入による効果ははっきりとわからないが、それまでは首都圏と近畿圏の10店舗限定でPontaポイントを導入していたことを考えると、効果があったために全店導入に踏み切ったのだろう。

ライフの売上高推移

ライフの売上高推移

西友と楽天の発表会では、2025年には食品スーパーでNo.1を目指しているとのこと。今回、西友が楽天と組むのは、やはり1億以上の楽天ID、5,300億円分の楽天ポイントによる送客を期待してのことだろう。

業界3位と4位のスーパーマーケットで共通ポイントが導入されたことにより、共通ポイントを導入していない1位・2位のイオン、イトーヨーカドーをどれだけ追い上げられるのかに注目したい。

なお、WAON POINTカードがもう少し外部で利用できるようになると、第5の共通ポイントとなり、共通ポイント業界もさらに混戦になりそうだ。

スーパーマーケットは電子マネーが鍵

業界1位のイオン、業界2位のイトーヨーカドーで重要なのが電子マネーの存在だろう。2007年にWAONとnanacoが誕生。2001年にSuicaやEdyが誕生した時が電子マネー元年ではなく、2007年が電子マネー元年と言われているのは、やはり主婦層にも普及し、電子マネーが一般的になったためだろう。

電子マネーは少額決済が基本だが、WAONは2015年度に取扱金額が2兆円を突破。その年の電子マネー利用金額から計算すると、WAONの利用は電子マネーの約4割を占める。スーパーマーケットでの利用のため、WAONやnanacoは他の電子マネーよりも平均単価が高いのだろう。

2015年度の電子マネー決済額におけるWAONの割合

2015年度の電子マネー決済額におけるWAONの割合

今回、西友が楽天Edyを導入したのも、スーパーマーケットと電子マネーの相性の良さから決めたのではないだろうか。西友にとっても楽天Edy導入はメリットはあるが、楽天Edyの利用層の拡大・取扱高の増加を考えると、楽天Edyの方がメリットは大きいだろう。

なお、nanacoやWAONでは、特定日付での5%OFFやポイントアップなどがあるが、西友での楽天Edyについてはキャンペーンのみ。そのかわり、15日に楽天ポイントカードの提示で2.5%還元となる特典を用意。楽天Edyでは購入項目まで把握できないため、特定日付でポイントアップは楽天ポイントカードにしたのだろう。

nanaco WAON 楽天Edy+楽天ポイントカード
スーパーでの割引 8のつく日「ハッピーデー」で5%OFF 20日・30日「お客さま感謝デー」で5%OFF
スーパーでのポイントアップ 10日「ありが10デー」で2.5%還元 15日は楽天ポイントカードで2.5%還元

ただし、WAONもnanacoもApple Payに対応しているが、楽天EdyのみApple Payに非対応。正直、この違いは大きいのではないだろうか。

スーパーマーケットだけでなく金融サービスの争いも

電子マネーとポイントの比較を行ってきたが、イオンもセブン&アイも楽天も金融サービスに強いと言う点が一致している。金融サービスを軸とした比較表を作成すると以下のようになる。なお、ポイントが貯まらないサービスの場合は、サービスがあったとしても「─」とした。

楽天ポイント Tポイント Pontaポイント dポイント WAON POINT nanacoポイント
クレジットカード 楽天カード Tカード Prime、
Tカード プラスPREMIUM
au PAYカード dカード イオンカード セブンカード・プラス
ポイントカード 楽天ポイントカード Tカード Pontaカード dポイントカード WAON POINTカード
電子マネー 楽天Edy Tマネー iD WAON nanaco
コード決済 楽天ペイ au PAY d払い AEON Pay
銀行 楽天銀行 T NEOBANK auじぶん銀行、
三菱UFJ銀行
イオン銀行 セブン銀行
証券(カード積立) 楽天証券 auカブコム証券 ウェルスナビ
証券(ポイント付与) 楽天証券 SBI証券、
ネオモバイル証券
auカブコム証券、
SBI証券
SBI証券 トラノコ
証券(ポイント利用) 楽天証券 SBI証券、
ネオモバイル証券
auカブコム証券、
SBI証券
SMBC日興証券 トラノコ
コンビニエンスストア ファミリーマート ファミリーマート ローソン ローソン ミニストップ セブン-イレブン
スーパーマーケット 西友、東急ストア マルエツ、東武ストア ライフ ライフ イオン イトーヨーカドー
ネットスーパー 楽天西友ネットスーパー マルエツネットスーパー イオンネットスーパー イトーヨーカドーネットスーパー
オンラインモール 楽天市場 au PAYマーケット Amazon
(d払い、ドコモユーザのみ)
スマートフォン 楽天モバイル トーンモバイル au、UQ mobile ドコモ、
トーンモバイル

表を見ると、強いのは楽天ポイントだろう。ただし、ポイントの改悪続きで他社もチャンスとみているはずだ。

イオンカードでウェルスナビの投資信託を購入できるサービスを2022年夏頃までに開始するなどは、楽天を意識してのことだろうか。

イオンカードでWealthNaviの積立サービスが2022年春~夏頃に開始 WAON POINTを獲得可能に
イオンカードでWealthNaviの積立サービスが2022年春~夏頃に開始 決済時のポイント獲得が可能に

イオンクレジットサービスでは、2022年春~夏頃に、ロボアドバイザー「WealthNavi」でクレジットカード決済機能を提供する。 イオンカード会員がイオンカード決済によるWealthNaviの積立が ...

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4大共通ポイントの中でも銀行をおさえているサービスは多くなく、楽天銀行とauじぶん銀行程度だ(T NEOBANKは住信SBIネット銀行の銀行代理業者としての銀行サービス)。銀行は参入障壁が高いが、イオン銀行・セブン銀行は既にあるため、表の「─」を埋めていくのは意外と楽かもしれない。

上記表に加えて「PayPay」を追加すると「7大経済圏」となる。現在のポイ活を考えた場合、上記経済圏をしっかり把握しておくのが重要だ。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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