Apple Payが開始してからiDやQUICPayといった名称も一般化してきている。三井住友カードなどをApple Payに登録すると、店頭では「iD(アイディ)」でと伝えて支払う事になる。
iDが誕生したのは2005年12月1日(木)と15年程度の歴史がある。
ふと気になったことがあった。iDの"i"が小文字である理由だ。最近、"i"が小文字になっている名称も多く、iPhone、iPS細胞、歌手のLiSAなどがある。なお、逆に"I"が大文字になっているのがX JAPANの「Toshl」。しかし、「Toshl」の"l"は"i"の大文字ではなく"L"の小文字"l"とのこと。
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話がそれたが、それぞれの名称で"i"が小文字になっている理由は、それなりに理由を紹介しているサイトが見つかる。しかし、iDだけは紹介しているサイトを見つけることができなかった。
iDのページを見ると、「iDの由来」について紹介されている。
「自己証明、存在証明」を意味する「Identity」と「身分証明書・社員証」などを意味する「iD」から由来しています。
クレジット機能を持った携帯電話・スマートフォンは単なるモノとしての機能を超え、「一人一人が必ず持つ、自分自身の分身のような存在になっていく」という意味が込められています。
これを見ても、"i"が小文字になっている理由は書かれていない。
2005年11月8日(火)のiD開始についてのニュースリリースを見てみたが、特に"i"が小文字になっている理由までは書かれていない。
そこで、筆者なりに2つの理由を考えて見た。
iモードのiが小文字だから
まず、考えられるのはドコモが1992年2月から提供してきた「iモード」が小文字を使っているから説。
iモードとはケータイでインターネットを楽しむことができるサービスとなる。まだまだインターネットは身近な存在ではなく、2000年頃にようやくADSLサービスが開始している。持ち歩いているケータイでメールが送られたりできるiモードは爆発的に利用者が増えた。
iDが開始した2005年頃には契約者数が4,500万程度となっており、認知度は高い。従って、「ID」ではなく「iD」にしたと言う説。
IDでは商標登録できないから
もう一つが商標の関係だ。おそらく、身分証明書などを意味する「identification」の「ID」では商標登録ができないのではないだろうか。「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」の実例を見ると、「ID」での登録は難しそうだ。しかし、iDのロゴには®が付いているため登録商標となる。商標の問題で「ID」ではなく「iD」にしたという説。
ドコモの見解は?
「Blu-ray」が「Blue」ではない理由も商標で認められない可能性があるためで、後者の方が理由としては正しそうだが、ドコモに確認してみることにした。
1時間程度後に電話があり、
と言う事で、iモード説が正解だったようだ。
ちなみに、筆者はNTT東日本時代に「Lモード」の開発を行っていたが、Lモードの"L"は、「Living(生活)、 Lady(女性向けメニューが豊富)、Local(地域に根ざした)、Large(大きい画面、大きいボタン)」等を意味している。なぜ"L”が大文字になったかというと、確か「iモードの"i"が小文字だから、それよりもサービスを大きくするため"L"を大文字にした」と見た記憶がある。そもそも小文字にすると「I(大文字のi)」なのか「l(小文字のL)」なのかがわかりにくいと言うこともあるだろう。ニュースリリースを見ても「Lが大文字の理由」は掲載されていないが、iモードよりも早くに終わってしまっている…。