クレジットカード特集 コラム

不正引出問題で「キャッシュレスは怖い」「オンラインは怖い」は逆 オンライン化して日々チェックする方が安全

ドコモ口座により不正引き出し問題が大きく取り上げられている。被害額状況もドコモ口座だけでなく、他社のスマホ決済サービスなどにも広がっており、「だからキャッシュレスは怖いんだ」「ネットは信用できない」のようなコメントも見かける。

筆者はクレジットカードで90枚以上、銀行口座で20行以上、10以上の証券口座を保有している。基本的に、オンライン明細やオンラインバンキングの利用は登録しており、アプリがある場合はアプリをインストールしているが、実はこれらのサービスを積極的に導入した方が安全だ。

金融サービスのアプリ

金融サービスのアプリ

今回、問題になっているのは、銀行口座を使っているが、それぞれのサービスを使っていないと言う方が被害に遭っていると言う点だろう。例えば、ドコモ口座やPayPay、LINE Pay、Kyashなどを利用していない、名前も聞いたこともない、と言う人が被害に遭っている。

これらのサービスは銀行の振替サービスを利用しており、支店、口座番号、氏名、キャッシュカードの暗証番号などで口座振替設定が可能だ。口座振替の設定ができれば、アプリからチャージし、その金額をどこかで利用する事ができる。

支店や口座番号、暗証番号などが漏洩したかは各社で異なると思うが、フィッシングメールなどで漏洩した、リバースブルートフォースアタックなどで割り出したなどあるが、仕組み自体はそれほど難しくない。

漏洩した口座情報や割り出した口座情報を使って、他人の口座をキャッシュレスサービスに繋げられると、犯罪者はアプリを操作するだけでチャージや買物ができてしまうわけだ。

従って、ドコモ口座やLINE Payなどを使っていないにもかかわらず、勝手に口座を登録されて使われているため、「オンラインバンキングは怖いから使わない」「PayPayはよくわからないから使わない」と言う人でも被害に遭う可能性がある。銀行口座を保有していれば誰でも被害に遭う可能性がある、と言うのが一番の問題点だろう。

対策としては、オンラインバンキングやweb明細を利用するのが最も簡単だ。アプリをインストールしてログインすると、口座情報をスマートフォンで確認できる。利用明細も確認でき、定期的に確認すると不正利用にも気がつきやすい。アプリによっては入金や出金でプッシュ通知があるものもある。

銀行の利用明細をアプリで確認

銀行の利用明細をアプリで確認

被害がどこまで広がっているかは不明だが、既に銀行口座を登録されていると、日々記帳しなければ不正を確認できない。しかし、オンライン明細で確認すれば残高や利用明細をリアルタイムに確認できる。第三者が勝手に銀行口座を登録していたとしても、手元で明細の確認が可能だ。

もちろんオンラインバンキングのログインID、パスワードが漏洩しないように気をつけなければならない。しかし、銀行のオンラインバンキングのセキュリティは強化されており、ログイン時の認証だけでなく、振込などはトークンを利用したり、認証アプリを用意したり、メールでのワンタイムパスワードを導入したりと、今回不正に利用された振替よりも安全だ。残高は確認されるが、資金が流出する可能性は低いだろう。

振込などではトークンが必要

振込などではトークンが必要

クレジットカードの明細も同様、日々チェックしておくようにしよう。アプリでチェックするだけで、不正利用には気がつきやすくなる。筆者も不正利用被害に遭っているが、こちらもカードを落とした、カードが盗まれたと言う事もない。カードを第三者に渡していないにもかかわらず不正利用されているため、クレジットカードを保有しているだけで被害に遭う可能性はある

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なお、銀行やクレジットカードの作成時には、携帯電話番号の登録をおすすめする。営業電話がかかってくるだけでは? と思われるかもしれないが、不正利用があったときや不正利用かどうかの判断が難しいときなどは、電話がかかってくる可能性がある。

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以前、クレジットカード会社に確認したところ、クレジットカードの不正利用が疑われる時に固定電話に電話しても多くの場合は繋がらない。留守番電話にメッセージを残しても折り返し電話があるのはごくわずかとのこと。携帯電話番号を登録しておくと、履歴にも残り、電話番号を検索すると、本物の電話かどうかも確認ができる。

現金を全て金庫に入れて、銀行口座もクレジットカードも持っていない、と言う場合でもコンビニやドラッグストアで電子マネーを購入させる、現金を郵送させる、現金を取りに行かせる、というような被害に遭う可能性もあるため、不正利用や詐欺は必ずあると言う前提で行動した方が良い。

不正利用や詐欺にあわないようにするには、クレジットカードも銀行口座も持たず、現金を全て使い切るしかない。しかし、そんなことはできないため、防ぐ手立ては明細を確認するのが最も簡単な方法だろう。そのためには、オンライン化を否定するのではなく、積極的に導入した方が安心できるだろう。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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