ダイナースクラブの会員誌「SIGNATURE 10月号」にも掲載されていたのが、「東京競馬場 馬主体験ツアー」だ。2019年で4回目の開催となる。
通常は入る事ができない東京競馬場来賓用特別室「ダービールーム」で食事やシャンパンを飲みながら競馬観戦する特別企画となる。
募集は抽選で30名までとなり、1会員につき3名まで申し込みできた。筆者も申し込み、見事に当選したので内容を紹介したい。
当選者には無料入場券が送付される。当日のドレスコードなどの注意事項も同封されていた。ジャケット・ネクタイ着用と言う案内がある。
ウェルカムシャンパンが用意されるとのことで、公共交通機関で府中競馬場まで行くことにした。土曜日の朝だったため、それほど混雑はしていない。新聞を持った人よりも、ベビーカーを押しているような人が多く少し驚いた。
送られてきたチケットで入場する。施設もきれいで、開放感がある。
入口から左手に行くと「東来賓受付」という案内がある。こちらにガードマンが立っている自動ドアがあるので、ここで受付が必要だ。
名前を言うと小さい札をもらい、その札をつけて歩く必要があるようだ。
受付で「8階の9番の部屋」と案内があったので、エレベーターで8階に移動。廊下を通ってNo.9の部屋に向かう。各部屋には「ダービールーム16」「ダービールーム15」などとあり、その下に馬の名前が書かれている。
16番目が2019年の第86回東京優駿(日本ダービー)を優勝した「ロジャーバローズ」、15番目が2018年の第85回大会で優勝したワグネリアンという具合だ。2020年には2020年のダービー馬の名前が16番目の部屋の名称となり、現在1番の部屋の馬名は消える仕組みだ。
2019年時点での部屋番号 | 日本ダービー回数(年号) | 優勝馬 |
16 | 第86回(2019年) | ロジャーバローズ |
15 | 第85回(2018年) | ワグネリアン |
14 | 第84回(2017年) | レイデオロ |
13 | 第83回(2016年) | マカヒキ |
12 | 第82回(2015年) | ドゥラメンテ |
11 | 第81回(2014年) | ワンアンドオンリー |
10 | 第80回(2013年) | キズナ |
9 | 第79回(2012年) | ディープブリランテ |
8 | 第78回(2011年) | オルフェーヴル |
7 | 第77回(2010年) | エイシンフラッシュ |
6 | 第76回(2009年) | ロジユニヴァース |
5 | 第75回(2008年) | ディープスカイ |
4 | 第74回(2007年) | ウオッカ |
3 | 第73回(2006年) | メイショウサムソン |
2 | 第72回(2005年) | ディープインパクト |
1 | 第71回(2004年) | キングカメハメハ |
このダービールームは日本ダービーの出走馬の馬主が使う部屋だと思っていたのだが、あくまでも「貴賓室」であり、イベントなどでしか利用されないとのこと。馬主席は7階に用意されており、日本ダービーの時は特別なラウンジが用意されている。ダービールームは日本馬主協会とJRAで調整する部屋という事で、個人で使いたいと言って使える物ではないようだ。
受付で案内のあったNo.9よりも前のNo.10でダイナースクラブの案内があったので、名前を言って部屋に入る。これが、通常は入る事ができないダービールームの中だ。
目の前には東京競馬場のターフコースが広がっており、ドアを開けるとコースを一望できる。天気も良く、緑が美しい。
3列席が用意されており、座って見ることも可能だ。
最初は、脚本家で馬主である大和屋 暁 氏とテレビやラジオのキャスターである鈴木 淑子 氏による「馬主ライフとは?」の講演だ。
講演中に気になったのが「馬主」を「うまぬし」と発言していること。ずっと「ばぬし」だと思っていたが、「うまぬし」が正しいようだ。後でJRAの方に聞いてみたが、職員は「うまぬし」と言うが、特に「ばぬし」でも間違いではないとのこと。
その後、JRAの職員の方から馬主になるための話があり、所得金額や所有資産について紹介があった。個人的には、馬主というと非常にハードルが高いイメージがあったのだが、2年連続で所得金額が1,700万円、所有資産が7,500万円を証明すれば個人馬主として登録する事ができるとのこと。
また、法人馬主や組合馬主などもあり、組合馬主の場合は3~10名の組合員がそれぞれ出資して共同で馬主活動を行い、その場合はさらにハードルは低くなる。このくらいなら何とかなりそうと思った方もいるのではないだろうか。現在の馬主数は、JRAの職員に聞いてみたところ2,500人程度。
過去2年間の所得金額 | 所有資産 | 備考 | |
個人馬主 | 1,700万円以上 | 7,500万円以上 | ─ |
法人馬主 | 1,700万円以上 | 7,500万円以上 | 過去2期の決算状況や余剰金の状況も審査対象 |
組合馬主 | 各900万円以上 | 組合名義で1,000万円以上 | 3~10名 |
話が終わると昼食だ。昼食はホテルオークラのお弁当となる。事前にソフトドリンクを聞かれていたため、ソフトドリンクとセットで頂く。
昼食中もレースが開催されており、馬券を購入したり、レースを見たり楽しむ。ダービールームでは、同じ階に馬券売場等も用意されているため、下の階まで移動する必要はない。
レース全体を見ることができるが、東京競馬場は非常に広いため、馬の写真をダービールームから撮影する場合は、かなり倍率の高いレンズが必要だ。以下は300mmの望遠レンズで撮影。
昼食後は、東京競馬場内ツアーが用意され、パドックなどを見学できる。2組にわかれてツアー開始。まず、8階から降り、地下馬道などを通ってパドックを見に行く。
柵もない状態で競走馬を見られるのはなかなか珍しい。天気も良く、馬体も非常にきれいだ。
また、馬が全てコースに移動した後にパドック内に移動。馬主の方に聞いても、パドック内に初めて入ったとのことで、貴重な体験のようだ。なお、G1の馬主はレース前のパドック内に入ることが可能とのこと。
続いて、検量室を見に行く。ジョッキーと鞍の重さを測る場所となる。出走前とレース終了後に7着まで入線したジョッキーは再度検量する必要があるとのこと。
100gもずれないように、小さいおもりも用意され、微調整して騎乗する。
検量室の見学後は小さいテレビでレースを見て、レース後の実際の流れを見ることができる。レースを終えた競走馬は着順の場所に誘導され、騎手は馬から下りて再度の検量を行う。
これで、東京競馬場内ツアーが終了。再度ダービールームに行き、JRA職員に質問したり、馬券を買ったりして楽しむ。もちろん、馬券を買わずにレースだけを見ても良い。
筆者は競走馬に必要な経費や賞金などを聞いてみた。出走するだけで40万円程度獲得でき、8着以内の場合は賞金を獲得できる。厩舎に支払うのは1ヵ月あたり約60万円程度のため、無事に出走すればそれほど大きく損をする事もない。もちろん、高額な競走馬を購入すれば、その資金を回収するのは非常に大変だが。
ダイナースクラブの会員誌であるシグネチャーには、社台サラブレッドクラブの記事が掲載されていたこともあるが、1口馬主については、上記で紹介した「個人馬主」とは異なるもの。1口馬主の場合は、馬主席や馬主用の専用駐車場などを使う事ができないが、とりあえず気分だけでも味わいたいと言う場合にはおすすめのようだ。他にもたくさんのクラブがあるので、気になる方は調べてみて欲しい。
なお、今回の東京競馬場 馬主体験ツアーは300人程度の申し込みがあったようで、14組30名の参加だった。非常に倍率が高く、人気のイベントとなる。今後も開催される可能性もあるため、馬主になってみたいと言うかたは、是非応募して欲しい。