日本クレジット協会が発表した、2020年3月末のクレジットカード発行枚数は2億9,296万枚と前年比で3.2%増加した。2019年3月末は2%、2018年3月末は2.3%と過去5年間では一番伸び率が高かった。
総数 | 前年比 | |
2016年3月 | 26,600万枚 | 2.7% |
2017年3月 | 27,201万枚 | 2.3% |
2018年3月 | 27,827万枚 | 2.3% |
2019年3月 | 28,394万枚 | 2.0% |
2020年3月 | 29,296万枚 | 3.2% |
毎年4月~翌3月末までの1年間でカウントされているため、2019年4月~2020年3月末で大きく影響したのがキャッシュレス・消費者還元事業だろう。
キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月~2020年6月末まで、中小店舗でキャッシュレス決済を利用すると5%還元、フランチャイズ店で利用すると2%還元となるキャンペーンだ。消費増税のタイミングで消費が落ち込むのを防ぐために5%や2%還元を実施。この影響で、新たにクレジットカードを作成する人が多くなったのではないだろうか。
また、2018年10月~2020年10月までのカード利用額および利用件数をグラフにしたのが以下となる。
2019年9月と10月で見ると、10月は9月よりも利用額は減っているが利用件数が増えている事がわかる。9月と10月で変わったのが消費増税だ。消費増税のタイミングで決済金額は減ったが、キャッシュレス・消費者還元事業でカードの利用が増えたのだろう。
なお、2019年12月をピークに2020年4月まで決済額が下がっているのは新型コロナウイルスの影響と思われる。2020年5月以降利用額については持ち直してきているが2019年12月のピークまでは戻していない。しかし、利用件数については利用額の2019年12月のピーク以上に利用されている事がわかる。
信用供与額(百万円) | 契約件数 | |
2019年6月 | 5,056,012 | 917,458,328 |
2019年7月 | 5,221,057 | 941,509,538 |
2019年8月 | 5,209,022 | 978,929,671 |
2019年9月 | 5,613,290 | 973,986,392 |
2019年10月 | 5,225,314 | 1,009,793,820 |
2019年11月 | 5,525,448 | 1,046,766,184 |
2019年12月 | 6,157,495 | 1,094,336,536 |
2020年1月 | 5,778,797 | 1,082,130,025 |
2020年2月 | 5,186,136 | 1,025,860,345 |
2020年3月 | 5,214,030 | 1,050,150,630 |
2020年4月 | 4,388,421 | 957,973,397 |
2020年5月 | 4,440,907 | 950,462,707 |
2020年6月 | 5,191,020 | 1,036,945,899 |
2020年7月 | 5,235,137 | 1,065,576,032 |
2020年8月 | 5,247,625 | 1,090,190,050 |
2020年9月 | 5,225,588 | 1,063,205,868 |
2020年10月 | 5,533,306 | 1,098,718,097 |
利用件数に関しては、キャッシュレス・消費者還元事業によってキャッシュレスをそのまま使い続けている点と、新型コロナウイルスの影響で現金を使いたくないと言う点が影響しているのではないか。
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