新型コロナウイルスの影響? クレジットカード発行枚数が過去最高に クレジットカードの利用額が減少・利用件数は増加

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新型コロナウイルスの影響? クレジットカード発行枚数が過去最高に クレジットカードの利用額が減少・利用件数は増加

2021年1月7日

日本クレジット協会が発表した、2020年3月末のクレジットカード発行枚数は2億9,296万枚と前年比で3.2%増加した。2019年3月末は2%、2018年3月末は2.3%と過去5年間では一番伸び率が高かった。

総数 前年比
2016年3月 26,600万枚 2.7%
2017年3月 27,201万枚 2.3%
2018年3月 27,827万枚 2.3%
2019年3月 28,394万枚 2.0%
2020年3月 29,296万枚 3.2%

毎年4月~翌3月末までの1年間でカウントされているため、2019年4月~2020年3月末で大きく影響したのがキャッシュレス・消費者還元事業だろう。

2014年~2020年までのクレジットカード発行枚数

2014年~2020年までのクレジットカード発行枚数(日本クレジット協会のデータより)

キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月~2020年6月末まで、中小店舗でキャッシュレス決済を利用すると5%還元、フランチャイズ店で利用すると2%還元となるキャンペーンだ。消費増税のタイミングで消費が落ち込むのを防ぐために5%や2%還元を実施。この影響で、新たにクレジットカードを作成する人が多くなったのではないだろうか。

また、2018年10月~2020年10月までのカード利用額および利用件数をグラフにしたのが以下となる。

2年間でのショッピング利用額・ショッピング件数の推移

2年間でのショッピング利用額・ショッピング件数の推移(日本クレジット協会のデータより)

2019年9月と10月で見ると、10月は9月よりも利用額は減っているが利用件数が増えている事がわかる。9月と10月で変わったのが消費増税だ。消費増税のタイミングで決済金額は減ったが、キャッシュレス・消費者還元事業でカードの利用が増えたのだろう。

なお、2019年12月をピークに2020年4月まで決済額が下がっているのは新型コロナウイルスの影響と思われる。2020年5月以降利用額については持ち直してきているが2019年12月のピークまでは戻していない。しかし、利用件数については利用額の2019年12月のピーク以上に利用されている事がわかる。

信用供与額(百万円) 契約件数
2019年6月 5,056,012 917,458,328
2019年7月 5,221,057 941,509,538
2019年8月 5,209,022 978,929,671
2019年9月 5,613,290 973,986,392
2019年10月 5,225,314 1,009,793,820
2019年11月 5,525,448 1,046,766,184
2019年12月 6,157,495 1,094,336,536
2020年1月 5,778,797 1,082,130,025
2020年2月 5,186,136 1,025,860,345
2020年3月 5,214,030 1,050,150,630
2020年4月 4,388,421 957,973,397
2020年5月 4,440,907 950,462,707
2020年6月 5,191,020 1,036,945,899
2020年7月 5,235,137 1,065,576,032
2020年8月 5,247,625 1,090,190,050
2020年9月 5,225,588 1,063,205,868
2020年10月 5,533,306 1,098,718,097

利用件数に関しては、キャッシュレス・消費者還元事業によってキャッシュレスをそのまま使い続けている点と、新型コロナウイルスの影響で現金を使いたくないと言う点が影響しているのではないか。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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