ポイント・マイル特化型メディア ポイント・マイルに関するあらゆる情報がここに(2013年~)

ポイ探ニュース

おトクより先に来る「不便な商業施設」のイメージ 渋谷スクランブルスクエアがアプリで大混乱

4月28日は語呂合わせで「シブヤ」と読めることから渋谷スクランブルスクエアではアプリで1万円引きのクーポン配布を含む、年に一度のキャンペーンを実施している。

2023年はアプリが原因でおトクを上回るネガティブな印象を受けたため、原因を考察する。

カード変更はおろか更新でも アプリ新規入会者と一緒に大行列

筆者はアプリにひもづけていた東急カードを2月に解約。ビューカードに入会したため、新カードを登録しようとしたところ、「アプリカウンタースタッフによる本人確認およびパスワード入力が必要です」の表記と、パスワード入力の画面が表示された。

シブヤの日は2階、6階、8階の3か所にアプリカウンターを設置しているということで赴いたところ、3か所とも数十人の列をなしていた。

本人確認必須の経緯

並んでいる最中に、手が空いたスタッフの方に、なぜカウンターでの確認が必要になったのかを尋ねると、セキュリティーのレベルを上げて3Dセキュア認証を利用するためと回答された。

確かに当アプリは2020年11月に第三者が不正に取得したクレジットカード情報を決済機能に登録し、商品購入された疑いが発生。3か月間アプリが利用できなかった。

しかし、新規登録再開にあたり、3Dセキュアの本人認証サービスを利用するとのアナウンスが出ている。

3Dセキュアに対応し、かつ本人確認が必須な理由は?

各クレジット会社側で追加認証を求めることで本人認証を行い、不正利用を未然に防止するという3Dセキュアを有したクレジットカードのみ登録可能であれば、加えてアプリカウンター確認を必須にする理由は何だろう。

筆者のスマホにクレジットカードとひもづけて決済が可能なアプリが14入っているが、クレジットカード登録の際に店頭確認が必要なものは皆無である。

肝心の本人確認も記録を取るわけではなく、スタッフに提示の上アプリの登録名義との一致を確認するのみで、不正の余地がみえた。

不正利用問題の改善策として形式上本人確認を必須にし、そのために数十分もユーザーを並ばせたのであればその判断に疑問を覚えるし、仮に店舗で本人確認を行わないと不正決済が可能であるアプリであった場合、他にも脆弱(ぜいじゃく)性がありそうで不安である。

それくらい、納得できない手続き環境であった。

おトクより先に来る「不便な商業施設」のイメージ

渋谷スクランブルスクエアはエスカレーターが一つしかなく、エスカレーター前に警備員を配置するほど導線が悪く、ただでさえ移動が難しいうえに今回はアプリ登録のためにユーザーを2階、6階、8階と動かすこととなり、混雑に拍車を掛けていた。

カウンターに並んでいるうちに行列に耐えかねて離脱していく人がみられた。アプリの設定をしないと値引きクーポンは利用できないため、購入をとりやめた人もいるだろう。

定価の75%で購入でき、ポイント3重取りの良い買い物をしたにもかかわらず、運用なのか、技術なのか、何らかの弱点により「不便な商業施設」だと強烈に認識させられた。「渋谷スクランブルスクエア」でSNSを検索すると同様のコメントを見かけたので、筆者だけの印象ではないだろう。

アプリ決済比率を伸ばすには

アプリ導入の目的は購買動向把握・販促活用といったマーケティングに生かすためとのことだが、現在ダウンロードだけでは利用不可。利用者増加は物理的な限界がある。

このままではアプリ決済比率どころか顧客自体が減りそうである。

アプリ決済比率を伸ばし、顧客満足度を上げるには最低限App Store、Google Playのユーザーレビューや顧客の声に向き合い、優先度を上げてシステム・運用の改善が必要だろう。

  • B!