楽天カードは2021年6月以降、公共料金や税金などの支払時に楽天カードを利用した時に1%のポイントを0.2%に下げると発表した。
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楽天カード、税金や公共料金は500円につき1ポイントに改悪
楽天カードは、2021年6月利用分より、公共料金や税金などは、100円に付き1ポイントではなく、500円に付き1ポイント還元に変更すると発表した。 公共料金(電気・ガス・水道)、税金(国税・都道府県税 ...
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この公共料金や税金でのポイント付与率を下げるカードは珍しくなく、アメリカン・エキスプレス・カードのメンバーシップ・リワードやダイナースクラブカードのダイナースクラブ リワードプログラムでも同じだ。ダイナースクラブカードやアメリカン・エキスプレス・カードは通常100円につき1ポイント獲得できるが、公共料金や税金などは200円につき1ポイントとなる。
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固定費を支払うときには要注意! アメリカン・エキスプレス・カードとダイナースクラブカードは半減する可能性も
「クレジットカードは使いすぎるかもしれないので怖い」と言う方には「固定費だけでもクレジットカード払いしましょう」と答えている。 固定費は、毎月ほぼ変わらない料金となり、クレジットカード引落にしても使い ...
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その後、タカシマヤプラチナデビットカードでも2022年4月以降、Visa加盟店で2%還元が公共料金や税金などのみ1%還元にダウンすると発表した。
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タカシマヤプラチナデビット、税金や公共料金などの支払いのポイントを半減
タカシマヤプラチナデビットでは、2022年4月1日(金)より、税金や公共料金などで獲得できるポイントを2%から1%に変更する。 各種税金、電気料金・ガス料金・水道料金などの公共料金、NHK受信料、寄付 ...
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多くのカードでは、公共料金や税金の支払いに対しては半減までだが、楽天カードは1/5と大きく下げているのでインパクトが大きい。
公共料金や税金などの支払いに対してポイントの還元率を下げる理由は、カード発行会社の収入である手数料が低く設定されているためだ。カード発行会社の収益構造はなかなか一般的には公開されていないが、経産省の「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」の資料に詳しく掲載されていたので紹介したい。
ポイントなどを付与するカード発行会社(イシュアー)に入ってくる手数料収入の箇所を見ると、「インターチェンジフィー/IRF(イシュアー手数料)」とある。インターチェンジフィーは国際ブランドが設定しており、カテゴリ毎に料率が異なる。資料を読んでいくとインターチェンジフィーは日本ではカード会員や加盟店に公開されていないようだが、公共料金や税金、病院などのカテゴリでは低く設定されており、ポイントを1%還元するとマイナスになってしまうようだ。
従って、楽天カードやアメリカン・エキスプレス・カード、ダイナースクラブカードは公共料金や税金での支払いでポイント還元率を下げているのだろう。なお、病院もインターチェンジフィーは低いようだが、楽天カードは現時点では病院での利用は少ないという事だろうか。
また、同資料にはカード会社の収入構造についての記載もあり、カード発行会社の利益としては0.3%と非常に低いと書かれている。
最近、カードの利用明細の送料が有料化されているカードが増えているが、おそらくこの「印刷・郵便費」の削減を行っているのだろう。
なかなかカード会社の収益構造を目にすることはないが、上記を見る限り、常時2%や3%還元のカードは難しく、Visa LINE Payクレジットカードの2%還元も段階的に下がっていくものと思われる。
このインターチェンジフィーについては、国際ブランドが決めているため、カード発行会社によって変わるわけでもない(カードのランクによっては変化する)。従って、楽天カード以外のカード会社でも1%還元のカード会社は逆ざやになっているはずで、今後、他社の動きも気になるところだ。
楽天カードに追従するのか、そのまま静観するのか。どちらの可能性もあり、楽天カードが下げたのだから、楽天カードよりも少し高い0.5%くらいまで下げても大丈夫だろうと考えるカード会社。または、公共料金や税金でも他の加盟店と同じである事をアピールするカード会社も出てきそうだ。
カード会社としては、公共料金の支払いでの還元率を下げる事で、利用者側のカード解約がしやすくなると言う事もある。例えば、電気、ガス、水道料金をクレジットカードで支払っていた場合、そのカードで何か改悪があったとしても、支払方法を全部変更しなければならないため、カードを解約しにくい。しかし、公共料金の支払いカードを一度でも変更されてしまうと、そのカードで改悪があった場合は比較的簡単に解約されてしまう。
今回の楽天カードの改悪で、公共料金を楽天カード以外のカードに切り替える人がどのくらいあるかはわからないが、チャンスとみているカード会社もあるのではないだろうか。