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楽天ポイントの累計発行ポイント数が2兆ポイントを突破! 楽天ポイントが最強の理由とは?

楽天は、2020年9月24日(木)に、楽天ポイントの累計発行ポイント数が2兆ポイントを突破したと発表した。

確か、1兆ポイントを突破したのは数年前だったはずだ。ニュースリリースを見ると1兆ポイントを突破したのが2017年。3年でさらに1兆ポイントを発行したことになる。

2019年の1年間で発行したポイント数が3,200億ポイントとなっており、キャッシュレス・消費者還元事業やマイナポイント事業もあるため、2020年はさらに多くのポイントが発行されるのではないだろうか。

NRIによると、2018年度のポイント最小発行額は1兆円超と発表されている。2020年では1兆755億円相当のポイントと予測されているが、楽天ポイントだけで3,200億円分のポイントという事は、年間のポイント発行額はさらに多いのだろう。

楽天ポイントの強みは、ポイントの使い勝手が良い点だ。従来はキャンペーンなどで貯まっていた期間限定ポイントの使い道はそれほどなく、楽天市場で無理矢理消費するか、あえて失効させるかのどちらかだった。しかし、2014年10月に開始した楽天ポイントカード(開始当初はRポイントカードの名称)の誕生で大きく使い勝手が変わった。

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コンビニなどで期間限定ポイントも消費できるようになり、送料をかけて少額の楽天ポイントを消費する必要がなくなった。おそらく、楽天ポイントが急激に変化したタイミングはこの楽天ポイントカード誕生後からだろう。

2015年6月にジャストシステムが発表したアンケート結果によると、共通ポイントで一番重視することとして、最も多かったのが「使える店舗やサービスの多さ」となる。続いて、「ポイントの還元率の高さ」「ボーナスポイントなどのキャンペーンの多さ」だ。つまり、消費者としては貯まりやすいポイントを重視するのではなく、使いやすいポイントを重視することがわかる。

楽天ポイントはオンラインとオフラインでポイントが共通化され、使いやすいポイントになったことで消費者の支持を得たのだろう。しかし、発行額が急激に増えたのはSPUの開始以降だ。SPUとはスーパーポイントアッププログラムで、楽天グループを利用すると利用数に応じて楽天市場でのポイント率がアップする特典だ。2020年9月時点では楽天グループを利用すると最大16倍の楽天ポイントを獲得できる。

グラフを見ると、2013年の5,000億ポイントから2017年の1兆ポイントまでは、毎年1,200~1,300億ポイント程度の発行だったのではないだろうか。SPU開始後の2016年以降2,000億ポイント以上の発行となり、2018年は2,500億ポイント、2019年が3,200億ポイントと急激に増えている。

では、楽天はただポイントをばらまいているだけなのだろうか。実は、楽天ポイントは広告費のかわりだ。広告費をかけずにユーザーの行動を変えさせるためにポイントを活用している。楽天グループサービスで複数サービスを利用するクロスユース率が2017年6月の64.9%から2020年6月の72.3%までアップ。それぞれのサービスで広告費をかけて宣伝するのではなく、ポイントを付与することで、ユーザーに楽天グループのサービスを使わせる事に成功しているのだ。トヨタの広告宣伝費は年間4,000億円以上使っている。楽天の場合はポイントが広告宣伝費となり、使った人だけに還元するため効率は良いだろう。

また、最近はTポイントやPontaポイントを導入している店舗が楽天ポイントやdポイントに切り替えるニュースなども増えている。これも、「楽天で発行している3,200億円分のポイントでユーザーを店舗に誘導しますよ」と言われれば、加盟店も考えるだろう。共通ポイントは相互送客のために導入しているが、楽天ポイントカードの場合は相互ではなく、一方的に送客してもらえる可能性が高い。加盟店が増えれば、使える場所も増える。使える場所が増えれば消費者の満足度もアップすると言う好循環になっている。

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SPUの開始以降は、ポイントの使い勝手もさらに向上している。楽天ペイで利用したり、通常ポイントは楽天証券での投資や楽天カードの利用料金に充当したり、期間限定ポイントは楽天モバイルの利用料金に自動充当などができ、楽天グループでの循環システムが完成しつつあるだろう。

この仕組みを超えるようなポイントプログラムはなかなか作れない。楽天ポイントが最強のポイントから陥落することはしばらくないだろう。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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