クレジットカード特集 コラム

旅行保険の「家族特約」とは? 家族会員との違いを解説

クレジットカードの旅行保険は非常に複雑だ。例えば、死亡・後遺障害の場合は補償が最高額のカードが優先され、それ以外は合算することができる。例えば、傷害による治療費用が200万円のAカードを保有し、300万円のBカードを保有していた場合は、旅行中のケガによる治療では最大500万円の補償を受けられる。

ただし、自動付帯・利用付帯という制限があり、単純な合算では考えられない。そのクレジットカードで旅費を支払った場合には補償するのが利用付帯となり、カードの保有だけで補償を受けられるのが自動付帯だ。

つまり、Aカードが利用付帯、Bカードが自動付帯である場合、Aカードで旅費を払うことで、補償を手厚くすることが可能となる。

クレジットカードの旅行保険については家族会員にも同額付帯する場合が多い。ここでの家族会員とは、「家族カードを保有している人」となり、家族だからといって旅行保険が付帯するわけではないので注意しなければならない。

クレジットカードの申込み条件は18歳以上となり、家族カードについても同じだ。従って、18歳未満の子どもと一緒に旅行する場合は、別途旅行保険を申込む必要がある。

しかし、中にはクレジットカードを保有できないような家族にも保険が付くカードもある。これが「家族特約」だ。

「家族特約」は、「生計をともにする家族で19歳未満の子様」や「カード会員またはその配偶者と生計を共にする同居の親族」などカード会社によって条件は異なるが、基本的には家族カードを発行できないような人向けの特典となる。

たとえば、三井住友プラチナカードの旅行保険を見てみよう。海外旅行傷害保険、国内旅行傷害保険共に「自動付帯」となるため、旅費の支払いの有無は関係なく、以下の補償を受けられる。

本会員 家族会員 家族特約
海外旅行傷害保険 死亡・後遺障害 最高1億円 最高1,000万円
傷害治療費用 最高500万円
疾病治療費用 最高500万円
賠償責任 最高1億万円
携行品損害 最高100万円
救援者費用 最高1,000万円
海外航空便遅延費用保険 乗継遅延費用 最高2万円
出航遅延・欠航
搭乗不能費用
最高2万円
受託手荷物遅延費用 最高2万円
受託手荷物紛失費用 最高4万円
国内旅行傷害保険 死亡・後遺障害 最高1億円
入院 日額5,000円
手術 最高20万円
通院 日額2,000円

重要なのは、本会員と家族会員の補償内容だ。基本カード会員だけでなく家族カード会員も同額の補償を受けられる事がわかる。しかし家族特約を見てみよう。海外旅行傷害保険は死亡・後遺障害は最高1,000万円までと補償は少なくなるが、それ以外の補償は同じとなる。一方、国内旅行傷害保険は、家族特約が無いため、家族カード保有者でなければ補償を受けられない。

さらに、三井住友プラチナカードの家族特約を見ると対象者は以下のように書かれている。

 

  1. 本会員と生計を共にする19歳未満の同居の親族
  2. 本会員と生計を共にする19歳未満の別居の未婚の子

つまり、配偶者であったとしても家族カードを保有していなければ家族特約の対象外となるということだ。

一方、アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カードの場合は、対象者として以下のように書かれている。

この保険の補償を受けられるのは、カード会員ご本人様および配偶者様、カード会員と*生計を共にするお子様・ご両親などの親族となります。
*生計を共にするとは、カード会員ご本人様と健康保険証を共用しているか税法上扶養関係にある場合をいいます。親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族の方をいいます。

つまり、配偶者や子どもを扶養している場合でも家族特約の対象となることがわかるだろう。

旅行保険を重視してクレジットカードを申し込む場合は、対象者が誰なのか、家族特約は海外のみなのか・国内も付帯するのか、どの場合に適用されるのかをしっかり確認しておいたほうが良いだろう。

基本的には家族特約は家族カードよりも補償が少なくなる場合が多い。そのため、家族カードを発行できる場合は家族カードを申込むことをおススメする。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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