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「最低価格保証」「ベストレート保証」の罠 そこで予約すれば必ずおトクというわけではない

旅行サイトで「最低価格保証」や「ベストレート保証」という文字を見たことが無いだろうか? ヒルトン・ワールドワイドやスターウッド ホテル&リゾートのオフィシャルサイトだけでなく、エクスペディアやReluxなどで「最低価格保証」「ベストレート保証」と謳っている。

今回は「最低価格保証」「ベストレート保証」について解説したい。

最低価格保証は最安値で宿泊予約できるわけではない

まず、エクスペディアのサイトに記載されている「最低価格保証」についての説明を見てみよう。

最低価格保証とは

とてもシンプルです。 エクスペディアは利用規約に従ってwww.expedia.co.jp 上で予約可能なホテル単体の総額(税金および手数料を含む)に対して最低価格を保証します。www.expedia.co.jp でホテルご予約後 24 時間以内 に、同じホテルをより安い金額で予約できる他の旅行ウェブサイトを見つけた場合、20,000円を上限として差額の2倍を返金いたします。

最低価格ではなかった場合は、その差額を返金する(エクスペディアの場合は差額の2倍)」というのが「最低価格保証」となり、「エクスペディアで予約すると最安値で宿泊予約できる」というわけではないので注意が必要だ。

つまり、本当に安く宿泊したいのであれば、様々な旅行サイトで比較しなければならないということだ。

さらに、最低価格との差額返金については規約があり、返金対象とならない場合もある。再度エクスペディアのサイトを見てみよう。最低価格保証に関する利用規約には、以下のように書かれている。

同一条件での比較である必要があります。

最低価格保証は、エクスペディアで予約したものと同じルームタイプやルームプラン、適用される返金ポリシー、チェックイン日とチェックアウト日など、条件が完全に一致する場合にのみ適用されます。 最低価格保証は、ホテル単体予約の総額(すべての税および手数料を含む)に適用されます。 実際に購入するまで施設、旅程、予約詳細が明らかにならないサイトでのご予約については、最低価格保証の適用対象外です。 より安い価格には、制限なしに、居住、地域、年齢などを含む、すべての要件(もしあれば)を満たしている必要があります。

簡単に説明すると、チェックイン日・チェックアウト日の日程、人数、食事や部屋タイプなどのプランが同一でなければならないということだ。これは比較的わかりやすい条件だろう。

比較対象料金はオンライン上で一般に提供されているものでなければなりません

最低価格保証は、英語または日本語のウェブサイトで広告および一般公開されている価格のみに適用されます。 たとえば、会員制プログラムのウェブサイトで提供された価格、法人割引または法人価格、団体、チャーター、ポイント プログラム、インセンティブ、会議、集会、コンソリデーター、またはインターラインの価格、オークションや類似の手続きで入手した価格、あるいは一般に提供されていないクーポンやその他のキャンペーンを使用することでのみ利用できる価格は対象外です。 お客様がウェブサイトに掲載されている番号に電話をすることで得られる料金や、お客様が受信した電子メールに記載されていた料金は、より安い料金とみなされません。 お客様が弊社のカスタマー サービス担当者にご連絡いただく時点で、料金は日本円で見積もられ、日本円で予約、支払いが可能である必要があります(通貨変換機能を利用して変換された金額は最低価格保証の対象とみなされません)。

この条件は、税金やサービス料を含めた金額での比較であり、クーポンや会員にのみ適用される割引は対象外という事だ。

返金対象となる例

例えば、2016年7月29日(金)に、2016年8月22日(月)チェックイン、2016年8月23日(火)チェックアウト、大人2名で、静岡県の「あたみ石亭」という旅館を検索した。プランも同一にするため、部屋のタイプを「数寄屋造り離れ客室」で、食事は2食付きとした。

最低価格保証のあるエクスペディアとRelux、一般的な楽天トラベルで金額を確認したところ、エクスペディアは70,356円、Reluxと楽天トラベルは63,960円となった。つまり、エクスペディアの金額と楽天トラベルの金額の差6,396円の2倍=12,792円が返金されるということだ。エクスペディアだけを見ていたら実際には他のサイトよりも高い金額で宿泊しなければならなかったということになる。

あたみ石亭はエクスペディアで価格が高いあたみ石亭はエクスペディアで楽天トラベルより価格が高い

返金対象とならない例

金城樓はエクスペディアよりも高い続いて、石川県の「金城樓」という旅館を検索する。「花の間」で2食付きプランで比較した。エクスペディアの場合は、102,600円。Reluxと楽天トラベルは同じ条件で108,000円だ。今回は、Reluxの最低価格保証があるため、エクスペディアの金額をReluxに伝えると5400円が返金されるはずだ。しかし、この場合は返金の対象外となる。

理由は、エクスペディアのサイトでは、102,600円の上に、「会員割引5%OFF」とある。つまり、ログインした会員向けに割引価格を設定しているという事で、誰でもアクセスできる金額ではない。エクスペディアにログインせずに確認した金額でなければ返金対象とならないため、ログインせずに同条件で検索すると、エクスペディアでも108,000円となる。従って、Reluxの最低価格保証の対象外となるということになる。

金城樓はエクスペディアが最安値でも会員価格のため返金対象外

また、上記で説明した「返金対象となる例」の場合でも、Reluxは会員制の予約サイトとなるため、Reluxの方がエクスペディアよりも安かったとしても、返金対象にはならない。従って、誰でもアクセスできる楽天トラベルと比較するのがポイントだ。

このように、「最低価格保証」「ベストレート保証」と言うのは、そこで予約しておけば確実に安く宿泊できる、と錯覚するが、実際にはやはり比較しなければならないということが分かるだろう。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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