前編では、通信キャリアやクレカと銀行が、これまで以上に強く結びつき始めている流れを整理した。
ここでもう一つ、見逃せない変化がある。
それが、金利の上昇だ。
長らく日本では、銀行預金の金利はほぼゼロに近い水準が続いてきた。
1999年にゼロ金利政策が始まり、2016年以降はマイナス金利となったことで、預金金利は事実上、存在しないに等しい状態だった。
そのため、おトクさを求める視点は、自然とクレカやコード決済の還元率やキャンペーンに向かっていった。
だが、ここにきて状況が変わりつつある。
普通預金でも年0.5%、0.6%、定期預金に至っては年1%を超える金利を提示する銀行が増えてきた。金利がほとんど意識されなかった時代から、「どこに預けるかで差が出る」局面に入り始めている。
ここで注目したいのは、クレカの還元率との比較だ。
たとえば、還元率1%のクレカで100万円使えば、得られるのは1万円分のポイントになる。一方、かつての普通預金金利が年0.001%程度だった時代では、同じ100万円を1年間預けても、利息は10円にも満たなかった。
ほぼ無視できる水準だった利息が、今ではそれなりに“差”として意識できるようになってきている。
さらに最近では、デビットカードの還元率が口座残高に応じてアップする特典が登場するなど、銀行口座の使い方次第でおトク度が変わる事も増えてきた。
生活防衛資金や、当面使う予定のない資金は、クレカの決済に回すことはできない。それらは基本的に、銀行に置かれる。
この「動かせないお金」に対して、
- 金利がつく
- 条件を満たすとポイントや特典がつく
- 経済圏全体の使い勝手が良くなる
のであれば、決済手段の還元率だけでトクを測る意味は小さくなる。
実際、通信キャリアやメガバンクが銀行を軸にした設計を強めているのも、こうした背景があるように見える。
ドコモの銀行参入、KDDIによるauじぶん銀行の全株式取得、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンクの動き。
これからは、
- クレカでどれだけ還元を取るか
- 銀行に預けてどれだけ利息を取るか
を切り分けて考えるよりも、銀行を起点に、決済やポイント、利息をどう組み合わせるかを考える方が合理的だ。
銀行金利の上昇で差がつき、数年後に振り返ったとき、「効いていた」のは銀行だった、というケースは増えていきそうだ。
銀行が再び経済圏の中心になるかどうかは、まだ分からない。
ただ、2026年以降は、これまで以上に銀行の使い方が差を生む局面に入っていく可能性は高そうだ。