PayPayポイントとVポイントのライバル連携は序章に過ぎない? 再編進むポイント経済圏に注目せよ(菊地崇仁)

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PayPayポイントとVポイントのライバル連携は序章に過ぎない? 再編進むポイント経済圏に注目せよ(菊地崇仁)

2025年5月15日(木)にPayPayポイントとVポイントの提携が発表されて、連日ニュースでも大きく取り上げられている。

OliveとPayPayが提携! どんな連携があるの? 勘違いしやすい点を整理(菊地崇仁)
OliveとPayPayが提携! どんな連携があるの? 勘違いしやすい点を整理(菊地崇仁)

2025年5月15日(木)に、三井住友カードとソフトバンクが会見し、デジタル分野での業務提携に付いて発表を行った。 いくつか気になった点をピックアップする。 OliveではPayPayのコード決済は使 ...

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「決済の大連立」として発表されたのは以下の3点。

  1. PayPayで三井住友カードを優遇
  2. OliveでPayPayを優遇
  3. ポイント相互交換が可能に

"1"については、PayPayでは他社クレジットカードをひも付けた決済が新方式に移行されるが、新方式移行時に三井住友カードの場合はこれまで通りのひも付け方式が利用可能だ。

"2"については、Oliveの支払い方法に「PayPay残高モード」が追加。Oliveフレキシブルペイを使って、世界中のVisa加盟店でPayPay残高が利用できるようになる。

"3"については、VポイントとPayPayポイントの相互交換が可能になることで、さまざまな使い方ができるようになる。

例えば、PayPayポイントをVポイントに交換し、Vポイント ⇒ WAON POINT交換で、毎月20日のウエルシアお客様感謝デーをより効果的に使うことができるようになる。

VポイントとPayPayポイントの相互交換でウエル活やJALマイラーにも影響がある?(菊地崇仁)
VポイントとPayPayポイントの相互交換でウエル活やJALマイラーにも影響がある?(菊地崇仁)

VポイントとPayPayポイントの相互交換が話題になっている。 VポイントはWAON POINTとも相互交換できるため、PayPayポイント ⇔ Vポイント ⇔ WAON POINTとそれぞれ交換でき ...

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これは現時点で"可能性がある"だけで、実際には制限がかかったりする場合もあるだろう。

なお、今回の提携は5大ポイントのVポイントとPayPayポイントのライバル同士の提携、かつ大型ポイントの提携のため、さまざまなポイント交換サービスに影響を与えそうだ。

以前、TポイントとYahoo!ポイントの提携があったとき、こちらもライバル陣営同士の提携、かつ大型ポイントの提携で、さまざまなポイント交換サービスに影響があった。

TポイントとYahoo!ポイント統合前のポイント交換図

TポイントとYahoo!ポイント統合前のポイント交換図

元々は、上記のようなポイント交換提携関係にあったのだが、Yahoo!ポイントとTポイントが統合すると以下のようになる。

TポイントとYahoo!ポイント統合後のポイント交換イメージ

TポイントとYahoo!ポイント統合後のポイント交換イメージ

当時のTポイントはファミリーマートのポイントと言っても良いくらいがっちり提携していた。また、nanacoポイントはセブン-イレブンのポイントであるため、Tポイントとnanacoポイントが相互交換できるようになると、それぞれのコンビニでためたポイントが他社のポイントに交換して使われるのは良くないため提携解除。また、ANAのマイルとJALのマイルがTポイントを介して相互交換できるようになる。これもまずいということでポイント交換の提携が変わり、nanacoポイントはANA陣営に、さらにdポイントがJAL陣営に加わり以下のようになる。

TポイントとYahoo!ポイントの統合で大きく動いたポイント交換図

TポイントとYahoo!ポイントの統合で大きく動いたポイント交換図

おそらく、今回のVポイントとPayPayポイントのポイント交換後も同じようにポイント交換については提携見直しが起きる可能性が高い。

では、どんなポイント提携に影響があるだろうか。

2025年4月14日(月)に開始したのが「みずほポイントモール」だ。

みずほポイントモールのサービスが開始 みずほWalletの登録で200ポイントなども
みずほポイントモールのサービスが開始 みずほWalletの登録で200ポイントなども

みずほ銀行は、2025年4月14日(月)より、みずほポイントモールのサービスを開始した。 みずほポイントモールは、みずほマイレージクラブの特典に加え、みずほ銀行での取引で「みずほポイント」がたまるサー ...

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みずほ銀行の利用で「みずほポイント」がたまり、たまった「みずほポイント」はPayPayポイント、楽天ポイント、dポイントに等価交換できる。

PayPayポイントはVポイントに交換できるようになれば、みずほ銀行でためたポイントが、三井住友銀行の振込手数料割引きに使ったり、Oliveや三井住友銀行のクレジット支払金額に充当できたりする。

【みずほポイント ⇒ PayPayポイント ⇒ Vポイント】

みずほポイントが直接Vポイントになるわけではないため、提携関係が残る可能性もあるが、見直される可能性はありそうだ。

なお、TポイントとVポイントが統合したときでも、りそな銀行のりそなクラブポイントからVポイントへの交換ルートが維持されるなど、同じ銀行系のポイントであっても、そのまま継続される場合もある。

オリコポイントやアメックスのポイントはPayPayポイントに交換でき、今後PayPayポイントがVポイントに交換できるようになると、オリコやアメックスのポイントが三井住友カードの利用料金に充当する等ができるようになる。

【オリコポイント → PayPayポイント ⇒ Vポイント】

【メンバーシップ・リワード・ポイント(アメックス) → PayPayポイント ⇒ Vポイント】

オリコポイントやメンバーシップ・リワードのポイントからPayPayポイントへの交換レートは下がるが、同業のポイントに簡単に交換できるようになってしまうため、この辺りも気になるところだろう。

また、最初に紹介したVポイントとWAON POINTの相互交換についても、今後どうなるかわからない。元々、WAON POINTはVポイントに交換すると、nanacoポイントにも交換できる状態だった。

【WAON POINT ⇒ Vポイント → nanacoポイント】

イオングループでためたポイントをnanacoにチャージしてイトーヨーカドーやセブン-イレブンでも利用可能になっており、VポイントとWAON POINTの相互交換もいつまで続くのか。

一般的には同業種のポイントが簡単に交換できるのをよしとしないため、今後のポイント交換に関する提携については注目しておこう。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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