クレディセゾンのブラックカード「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」はどうやって誕生した?(菊地崇仁)

クレジットカード特集 コラム ブラックカード

クレディセゾンのブラックカード「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」はどうやって誕生した?(菊地崇仁)

2025年4月22日(火)にクレディセゾンオフィスで「1000 人の商談から導いた新富裕層ビジネスの最前線」がメディア向けに開催された。

クレディセゾンは、2022年9月にブラックカード「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」を発行。年会費は24万2000円(税込み)で金属製のカードとなる。

SAISON MILE CLUBの年会費が改定! 調べているときに確認できたセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードって何?
SAISON MILE CLUBの年会費が改定! 調べているときに確認できたセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードって何?

筆者はセゾンアメックスを何枚か保有している。セゾンアメックスでおトクなサービスが「SAISON MILE CLUB」だろう。 SAISON MILE CLUBに登録すると、ショッピング利用1,000円 ...

続きを見る

カードとしては、アメックスやダイナースなどの金属カードと同じで、フルメタルではない。タッチ決済も利用できる。

「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」はブラックカードのためターゲットは「富裕層」。「富裕層とは」の定義は、定期的に発表されている野村総研の資料がバイブルとして使われている。純金融資産保有額が1億円以上の世帯を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」としており、クレディセゾンとしてもこの資料を参考にしているとのこと。

野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」より

野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」より

富裕層と超富裕層を合わせると165.3万世帯で、2021年の148.5世帯から11.3%増加し、富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯だ。

2023年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、2005年以降増加しており、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降は一貫して増加傾向にある。

クレディセゾンとしては、この富裕層を「旧富裕層(オールドリッチ)」と「新富裕層(ニューリッチ)」に分割し、対象を「新富裕層(ニューリッチ)」に絞って「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」の商品設計を行った。

旧富裕層(オールドリッチ) 新富裕層(ニューリッチ)
レストランはミシュラン系 レストランは予約困難店・会員制・住所非公開
豪華な持ち家を所有 タワーマンション上層エリアの賃貸
箱根や軽井沢に別荘を保有 NOT A HOTELなどのシェアリングコンドミニアム
一流ホテル、ファーストクラス、ハワイなどモノ重視 誰もしたことがないオリジナル体験などコト重視

特典としては、クラブ・コンシェルジュの、「DIAMOND MEMBERSHIP DINNER」「極上のテーブル」「厳選レストラン」を利用する際、総額10万円以上をセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードで支払うと店舗から自宅までBMWi7での送迎などの特典なども付帯する。この辺りはラグジュアリーカードの送迎サービスに近い。

ラグジュアリーカードのLuxury Table(ラグジュアリーテーブル)と、Luxury Limousine(ラグジュアリーリムジン)を使ってみた 帰りはセンチュリーでの送迎!

先日、ラグジュアリーテーブルでレストランの予約を行った。ROZZO SICILIA(ロッツォシチリア)というイタリア料理のお店だ。 白金高輪駅の4番出口から出て、10分程度だろうか。予約時間よりも早め ...

続きを見る

また、さまざまな商材の紹介やイベントなども実施。

成層圏まで気球で上がり、シャンパン片手に宇宙旅行できる体験の紹介やアンコールワットの貸し切り体験などの紹介、老舗料亭を貸し切り、ストラディバリウスの演奏で食事を楽しむイベントなど、モノではなくコトを重視した案内やイベントが多くなっている。

セミナーに参加した限りでは、セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードの特典は「新富裕層」だけでなく、「旧富裕層」「新富裕層」のハイブリッドであると感じた。なぜ「新富裕層」を対象にしているのかを質問したところ、対象を絞らなければ、サービス設計がぶれてしまうため「新富裕層」を対象に設計したとのこと。

なお、クレディセゾンとしては、金融資産が1億円に満たない場合でも、会員属性などからセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードの対象にすることもあるようだ。年齢で区別もしておらず、高齢者であっても価値観が「新富裕層」であれば、対象としている。

最近はやりの「いつのまにか富裕層」や「スーパーパワーファミリ-」についてはセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードの対象外。ライフスタイルとしてはアッパーマス層から準富裕層に近いため、異なるアプローチが必要とのこと。

富裕層はリボ払いや分割払いを利用しないため、手数料収入としては決済手数料が主となる。従って、セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードをメインカードとして使い、さまざまなイベントなどに参加している場合は、セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードのインビテーションがあるかもしれない。ただし、セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードの決済額はやはり平均で年数千万円あるようだ。

現時点でセゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードは個人カードとなり、法人カードはない。セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カードの法人カードも発行したいが、サービスは全く異なるもになるとのこと。

JAL・JCBカード プラチナProの誕生やdカード PLATINUMの誕生など、今後も上位カードの発行は増え、競争も激しくなっていきそうだ。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
アバター画像

菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

-クレジットカード特集, コラム, ブラックカード
-, , ,