PayPayが年間6,000億円程度のポイントを発行! 筆者の獲得ポイントから増加原因を考える

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PayPayが2022年度に年間6,000億円程度のポイントを発行! 筆者の獲得ポイントから増加原因を考える

PayPayは、2022年度に発行するポイントが6,000億円程度になると発表した。

2022年度のPayPayポイント発行額が年間6,000億ポイントに
2022年度のPayPayポイント発行額が年間6,000億ポイントに

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PayPayの発表では"年度"となっており、4月~翌3月末までだが、今回の記事では3月末までの予測はできないため、年間を1月~12月で考える。

年間6,000億円規模のポイント発行で利用者が5,500万人。1人当たり年間10,909ポイント程度の獲得だ。

1人当たりで考えると、確かにそれくらいは獲得しているかもしれないと思い、筆者が2022年でためたポイントを確認してみた。

獲得月 獲得ポイント
2022年1月 254ポイント
2022年2月 3ポイント
2022年3月 120ポイント
2022年4月 38ポイント
2022年5月 1ポイント
2022年6月 80ポイント
2022年7月 1ポイント
2022年8月 120ポイント
2022年9月 179ポイント
2022年10月 5,226ポイント
2022年11月 42ポイント
2022年12月 10,554ポイント
合計 16,618ポイント

筆者が1年間で獲得したポイントは16,618ポイントと1人あたり10,909ポイントよりも多くのポイントを獲得できていた。それほどたまっていないと思っていたので驚きだ。

PayPay自体ではそれほど発行していない

最初にPayPayの決済時に獲得できる通常のPayPayポイントを考えてみる。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会の2021年コード決済金額を調べると7兆3,487億円程度となり、2023年2月17日(金)に行われた『「ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業」および「ポイントを使いこなして生活防衛!」に関する説明会』に参加した情報によると、2021年のPayPayのコード決済シェアは67%とのこと。

従って、PayPayの年間決済額は4兆9236億円程度となる。PayPayでは決済手数料が発生するようになっているが、最低の1.6%で計算すると、手数料収入は2021年で788億円程度手数料収入だけで6,000億円分のポイントはまかなえない事がわかる。

続いて、コード決済の7兆3,487億円の内、PayPayポイントがたまらないクレジットカードをひも付けた金額を除くと5兆2,734億円。67%で計算すると3兆5,332億円がPayPayの決済分となる。PayPayのデフォルトの還元率は0.5%のため176億円程度がPayPayの通常決済によるPayPayポイントだろう。2022年12月以降はPayPayあと払いで1%還元となっているが、今回は考慮していない。

PayPayステップの条件が2022年12月以降に変更 PayPayあと払いが優遇に
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176億ポイントを5,500万人で割ると年間320ポイントがPayPay決済分のポイントとなり、10月・12月を除いた月で考えると妥当な数字に見える。

もちろん、176億ポインというのはPayPayジャンボなどのキャンペーンが入っていないため、実際の発行ポイント数はもう少し多くなるはずだ。それでも、PayPayの決済による通常ポイントだけで数千億円規模のポイントを発行しているとは考えにくい。

6,000億円までポイント発行額が増えた要因は?

では、6,000億円分のポイント内訳はどのようになっているのだろう。説明会でも具体的な発行額の内訳は公表してないとの事だったため、公開されているデータなどから考えていく。

増加原因その1:Yahoo!ショッピングのTポイント⇒PayPayポイント

筆者が2022年に獲得したポイントで、ポイントが多く獲得できている月に注目したい。

2022年10月で獲得した5,226ポイントの内、5,200ポイントがYahoo!ショッピングでの獲得となる。10月にはYahoo!ショッピングとPayPayモールが統合し、ポイントプログラムが変わっている。

2022年10月12日(水)に「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」が統合 PayPayまたはPayPayカードで支払うと毎日最大5%のPayPayポイントがたまる特典も開始
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また、2022年4月以降、Yahoo!ショッピングではTポイントを終了し、PayPayポイントに切り替わっており、Tポイント⇒PayPayポイントの変更やYahoo!ショッピングでの特典変更が2022年度のPayPayポイント増加の要因と言えそうだ。

増加原因その2:デジタルギフトからPayPayポイントへの交換増加

続いて、2022年12月に増えている理由を考える。ちょっと特殊だが、ファミリーマートでApple Gift Cardを購入すると10%分のギフトがもらえるキャンペーンを実施しており、その受け取りポイントをPayPayポイントに指定したため、10,000円分のPayPayポイントを獲得できた。

Apple Gift Cardを20万円分購入して2万円分のLINEポイント・giftee Box SELECTのポイントをゲット! iPhone 14 Proをおトクに購入可能!
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TポイントやLINEポイントからのポイント交換なども開始し、ポイント交換でもPayPayポイントが提携先として増えているのも2022年のPayPayポイント大幅増加の要因かもしれない。

増加原因その3:ソフトバンクでTポイント終了+PayPayカード ゴールドでの10%還元

また、12月分にはPayPayカード ゴールドでソフトバンクの料金支払いで475ポイントを獲得できている。PayPayカード ゴールド分の10%については、2022年度のポイント増加分では大きくないかもしれないが、2023年以降のPayPayポイント発行額は大きく増えるだろう。

例えば、dカード GOLDの発行枚数は2021年4月時点で800万人。一方、年会費無料のdカードの発行枚数が640万枚と、ゴールドカードの方が発行枚数は多い。

dカード GOLDはdカード会員の55%以上!? 通常のゴールドカードの保有率よりも圧倒的に高い割合
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ドコモは2021年4月9日(金)に、dカード GOLDの会員数が800万を突破したと発表した。 dカードとdカード GOLDの利用者数が掲載されており、全体では約1,440万人、dカード GOLDが約 ...

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おそらく、ドコモの料金に対して10%のdポイントがdカード GOLDの年会費11,000円(税込み)以上となる利用者がdカード GOLDを保有しているのだろう。毎月10,000円程度のドコモ料金支払いがある場合は1か月1,000ポイント獲得できる。1,000ポイントを12か月で12,000円となり、年会費を払ってもおトクだ。

このように考えている人が800万人いると考えると、1か月80億円分がdカード GOLDで発行され、年間960億円分のポイントがdカード GOLDから付与されていると考えられる。

ソフトバンクの料金に対してPayPayカード ゴールドも10%還元を開始したため、PayPayカード ゴールドの会員は増えそうだ。PayPayカード ゴールドでの発行分のポイントがdカード GOLDと同程度になると、1,000億円規模の発行額まで行けそうだ。

ソフトバンクでのPayPayカード ゴールドで10%還元特典が判明! 残りの0.5%分のポイントが付与された!
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増加原因その4:PayPayカードの取扱高増

単純に、PayPayカードの取扱高が毎年5,000億円程度アップしている。2020年度は2兆4,281億円、2021年度は2兆9,081億円となり、5,000億円アップするとPayPayカードの還元率は1%のため50億円分のポイントが増える。

PayPayカード ゴールドの場合は還元率が1.5%となるため、PayPayカード ゴールドの会員数が増え、PayPayカードの取扱高が増えれば、発行ポイントどんどん増加していく。

2022年度の取扱高が5,000億円増え、3兆4,000億円程度の取扱高となり、1割がPayPayカード ゴールドになると51億円分がPayPayカード ゴールド、306億円分がPayPayカードでの発行となり、357億円相当のポイント発行となる。

増加原因その5:マイナンバーカードの発行枚数増加

PayPayポイントの増加要因としてはマイナポイント分が大きいだろう。説明会でもこのあたりを確認する質問があがっていたが、発行ポイント数や6,000億円に対する割合などは非公開とのことだ。

総務省のマイナンバーカードのデータによると、2022年1月1日時点での発行枚数は51,871,720枚、12月末の時点では71,905,789枚と1年間で20,034,069枚の増加となる。

マイナポイントとしてPayPayポイントを選択しているのが説明会によると3割程度との事だったため、6,678,023枚分がPayPayポイントを選択と仮定する。1枚あたり20,000円相当のポイントを獲得できるため、133,560,460,000円(約1,336億円)相当分のポイントがマイナポイント分となる。少なく見積もっても、6,000億円の内、1,000億円程度はマイナポイント分と考えられる。

マイナポイントの申し込みは2023年2月末までのため、2023年度のPayPayポイント発行数でのマイナポイント分はかなり減るのではないだろうか。

ただし、マイナポイントの締め切りが迫るとマイナポイント事業の延長が総務省から発表される事が続いており、景品表示法違反のような状態が続いているのは政府のやり方としてはどうなのだろうか。

増加原因その6:自治体によるキャンペーンの増加

PayPayは自治体のキャンペーンも多い。自治体の中小店舗でPayPayを利用すると20~30%程度のポイント還元がある。

いくつの自治体が参加しているのかを調べてみると、以下のようになる。

2023年 2022年 2021年 2020年
1月 41 24 23
2月 3 21 27
3月 7 9
4月 6 5
5月 7 15
6月 11 25
7月 16 27 3
8月 25 25 10
9月 30 41 22
10月 36 16 25
11月 53 18 25
12月 50 43 36
合計 44 286 274 121

1つの自治体でどのくらいの予算が使われているかを調べてみると、1億円未満や10億円前後の自治体もあり、全て調べるのは難しいため、平均3.5億円程度の予算で考えると、286自治体で1,000億円程度となる

ただし、2021年度と2022年度ではそれほど自治体数が変わっていないため、大幅にポイント発行が増えた原因にはならないのかもしれない。

今後、コロナが落ち着けば、キャンペーンも減るため、自治体発行分のポイントは減少していくはずだ。

マイナポイントと自治体分を他でカバーできるかが鍵

PayPayポイントの発行は、それ以外にもPayPayクーポンなどもあるが、6,000億円程度までは考えられなかった。

それでも、かなりの部分が自治体分のポイントとマイナポイント分であるため、これらの減少を今後どのようにカバーしていくのかが重要となる。

Yahoo!ショッピングやPayPayカード ゴールドなどで補うこともできるかもしれないが、それ以上の発行額にするためには、別の仕組みが必要となるだろう。

おそらく、その穴埋めとして考えているのがPayPayポイントの外販だったり、LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージだったり、PayPay商品券(PayPayポイントではない)だったりするのではないだろうか。

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2023年度のPayPayポイント発行額が楽天ポイントを超すためには、マイナポイントと自治体分の減少を他のグループサービスなどでどれだけ補えるかが鍵となり、まだ完全に連携し切れていないようなPayPay証券(PayPayカードでのクレカ積み立てなど)やPayPay銀行でのポイント付与(振り替えでポイント付与など)などに注目したい。

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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