コラム 共通ポイント

電力自由化で変わるポイント業界図 共通ポイントに挑むポイントとは?

ポイント業界は非常に動きが激しくなってきている。2012年にYahoo!ポイントを廃止し、Tポイントに切り替えるという発表がすべての始まりだ。この発表後3年間で大きく業界図が変わってしまった。

Yahoo!ショッピングは常に楽天市場の後塵を拝していたが、Yahoo!ショッピングでもTポイントが貯まるようになると、ネットとリアルの加盟店で楽天市場を追い抜くことになる。そこで、2013年には楽天がリアルでの共通ポイントサービス「Rポイントカード」開始を宣言した。

また、2014年にはKDDIがau WALLETカードでケータイの料金で貯めたポイントをリアルでも使え、リアルでも同じポイントを貯められるよう変更。これに追従したのがソフトバンクだ。ソフトバンクもソフトバンクポイントを廃止し、Tポイントに移行。au WALLET同様、閉じられたポイントから使いやすいポイントに舵を切った。

同時期にじゃらん等で貯まるリクルートポイントが廃止となり、Pontaポイントに切り替えると発表され、2015年にはドコモが共通ポイントサービス「dポイントカード」を開始すると発表した。

たった3年間でこれだけの動きがあり、まさにポイント戦国時代となっている。

これまでの動きでは、共通ポイントとオンラインショッピングモールのポイント、ケータイのポイントだけの動きだったが、今後はさらに加速しそうだ。

電力自由化がポイント業界をさらに動かす

東京電力の電気料金の支払いでTポイントとPontaポイントを貯められるようになると発表があった。これは、2016年4月に開始となる電力自由化による動きのためだろう。

楽天スーパーポイント(Rポイントカード)はこの流れに乗らなかったのだろうか? 以前、楽天に取材した時には「Rポイントカードは排他契約をせず、お客さんにポイントカードを選んでもらいたい」とコメントしていた。つまり、東京電力でTポイントとPontaポイントを選べるようになるのであれば、楽天スーパーポイントが選択できるようになってもおかしくはない。

実は楽天も電力自由化については考えており、楽天エナジーが電力マネジメントサービスを提供している。それぞれの電力会社と接続し、電気料金を下げるというサービスだ。

楽天エナジー 電力マネジメント

さらに、2015年秋に伊藤忠エネクスグループのガソリンスタンドでRポイントカードを開始すると発表があった。一見、出光SS以外に提携ガソリンスタンドが増えただけのように感じるが、伊藤忠エネクスグループはLPガス事業や電力事業なども行っているため、電力自由化をにらんだ提携と思われる。

地方に強いWAONがエネルギー自由化で存在感アップ

電力自由化の後には、ガスの自由化も予定されている。つまりエネルギーの自由化という事だ。このエネルギー自由化で素早く動いたのは鳥取ガスだ。鳥取ガスは2014年末にWAONと提携。「鳥取ガスグループ Smart Life WAON カード」を2015年1月から導入を開始し、鳥取ガスグループの利用で貯めたポイントをWAONポイントに交換できるようになっている。

なぜ共通ポイントサービスではなかったのだろうか? 共通ポイントサービスの加盟店は地方よりも都心に集中しているものと思われる。そのため、地方の電気・ガス会社にとって、ポイントの使い勝手が悪いと判断したのではないだろうか。

そこで、ご当地WAONなども展開しているWAONとの提携という流れだろう。2015年7月には関西電力の利用でWAONポイントが貯まるサービスを検討という報道発表があった(関西電力は報道を否定)。こちらも電力自由化に向けた顧客のつなぎとめのためのポイント付与ということだ。

エネルギー自由化の影響で、地方に強いWAONポイントの存在感が増している。東京電力は都心にあるためにTポイント、Pontaポイントとの提携となったが、地方の電気会社、ガス会社は鳥取ガスや関西電力のようにWAONポイントと提携する可能性は高い。

共通ポイントのライバルにWAONポイントが浮上してきている。イオンのサービスとしては、電子マネーのWAON、クレジットカードのイオンカードだけでなく、銀行のイオン銀行、ケータイ電話のイオンモバイル、旅行サイトなど多岐にわたる。CCC+Yahoo!+ソフトバンク連合やリクルート+LM連合、楽天、ドコモとサービスが完全に重なっているのだ。

共通ポイント4陣営のライバルとしては、WAON、au WALLET、nanacoとなっていくのではないだろうか。

ポイント提携マップ

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菊地崇仁

2011年3月に株式会社ポイ探の代表取締役に就任。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られ、日経プラス1の「ポイント賢者への道」を2017年から長期連載中。年会費約120万円・約110枚のクレジットカードを保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。

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